828: ◆8zklXZsAwY[saga]
2019/03/24(日) 23:40:37.38 ID:6D6vTS+OO
機械音が鳴りわたっている空間に人間の声がかすかに混じったのを永井は聴き取った。
永井「聞こえたか!?」
中野「どうした永井」
永井の表情は眼を見開いたまま固まっていた。口もぽかんと開いたままになっている。ほんのわずかに聞き取られた人間の声は、永井の思考の方向をすべてそれについて向けさせた。それとは耳に届いた人間の声が悲鳴で、一階から上ってくるだろうと想定していた悲鳴が、同じ階から聞こえてきた原因と可能性についてだった。
永井「今、なにか……」
中野「何かの音はするだろ」
永井「だよな……いきなり侵入する方法なんか……な」
永井はひとつの可能性に思いあたった。
いや、そんなはずない……そんな方法……
永井は感情的な否定を心中でつぶやいていた。
だってそれは……普通の人間がやろうと思うような方法じゃない……
だが、思考のほうはこれまでの知識から論理を構築していて、それは十分な可能性を持っていた。
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