■■「島村卯月、頑張りますっ」
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1:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/08(日) 23:38:28.30 ID:tTAn3URP0
はじめに。

アイドルマスターシンデレラガールズの二次創作ではありますが、厳密な意味でゲームのアイドルは一切でてきません、
もちろん、島村卯月も例外ではありません。

そのうえで、お付き合いいただけたのでしたら幸いです。

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2:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/08(日) 23:39:18.08 ID:tTAn3URP0

 そこは、まるで真っ暗な夜の海でした。
 真っ黒な空間に、細いピンク色の灯りだけはぽつぽつと浮かんでいます。
 心細くゆらゆらと揺れるピンク色のサイリウムは、自分たちを照らしてくれる恒星を待っています。
 やがて、一筋のスポットライトが暗闇を切り裂きました。その下には一人の少女がいます。
以下略 AAS



3:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/08(日) 23:41:15.11 ID:tTAn3URP0
◇◇◇

 モニターの中では、『島村卯月』が歌っていました。
 ステージ中の歓声を集めて、愛をこめて希望の歌を歌う。
 それは、『島村卯月』にとって当たり前のことでした。なにせ、彼女はアイドル。それも、その頂点に立つ『シンデレラガール』に選ばれたのですから。
以下略 AAS



4:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/08(日) 23:42:27.45 ID:tTAn3URP0
 ――なんて、また恥ずかしくなってきました。
 さっきから映している自分のライブ映像も、見ていて落ち着きません。
「もう、いいですよね」
 これ以上は無理です。大人しく、テレビを消すことにしましょう。

以下略 AAS



5:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/08(日) 23:43:16.49 ID:tTAn3URP0
◇◇◇

 ふわふわとした空間に、『わたし』は浮かんでいる。わたしたちは、ずっとこの空間に浮かんでいる。
 上も下も、右も左もない、ふわふわとした場所。わたしは、ずっとここに居る――

以下略 AAS



6:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/08(日) 23:45:08.01 ID:tTAn3URP0
◇◇◇

「わわっ!」
 中途半端に履いた靴で駆け出すと、途端にバランスを崩してしまいます。
 口にくわえた固形食が落ちそうになるけど、何とかくわえなおして駆け出します。
以下略 AAS



7:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/08(日) 23:46:39.15 ID:tTAn3URP0
◇◇◇

「おはようございまーす!」
 プロダクションに入ると、いつものように元気な挨拶をします。
「あ、卯月、おはよう!」
以下略 AAS



8:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/08(日) 23:47:16.64 ID:tTAn3URP0
◇◇◇

 違和感は日に日に大きくなっていきました。
 毎日レッスンを続けても、どこかしっくりと来ません。
 ずれた歯車はかみ合うことなく、その軋みは大きくなるばかり。
以下略 AAS



9:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/08(日) 23:49:38.36 ID:tTAn3URP0
◇◇◇

 ステージの裏に、私は呆然と佇んでいました。
 ステージの上では、凛ちゃんが歌っている。もう少しで、私の出番になる。
 レッスンもたくさんしました。リハーサルだって、上手くいきました。
以下略 AAS



10:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/08(日) 23:50:38.03 ID:tTAn3URP0
「……そうか、そうだな」
 すると、プロデューサーは私の前に手を差し出します。
「ほら、そんな顔をするな。誰だって調子崩す時はあるだろ……たぶん、初めてなんだろう?」
 なら、もう一度やろう。プロデューサーは優しくそう言ってくれます。
「指切り、だ」
以下略 AAS



11:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/08(日) 23:52:42.00 ID:tTAn3URP0
◇◇◇

 夜道を一人歩いていました。
 ライブは無事に終わりました。ボロボロだけど、最低限は上手くできた……そう思っています。
 でも、違和感はなくなりません。ボタンをかけ違えたような気持ち悪さは、消えることはありません。
以下略 AAS



12:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/08(日) 23:54:55.72 ID:tTAn3URP0
◇◇◇

 女子寮の自分の部屋に戻った後も、私の頭は真っ白なままでした。
 何かしないといけない。反射的にテレビのリモコンをつかむと、電源を入れます。表示を見ると、ちょうどメディアの再生中でした。
「なに……かな」
以下略 AAS



13:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/08(日) 23:55:51.09 ID:tTAn3URP0
◇◇◇
 
 翌日、手紙を頼りに街へ出ます。
 明らかに怪しいとは思いました。でも、今の私が頼ることができる情報は、ちひろさんからの手紙だけです。
 普段通らない道を進み、見知らぬ街へ出る。そうしてたどり着いた場所は、古びたビルでした。
以下略 AAS



14:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/08(日) 23:58:43.24 ID:tTAn3URP0
 人気のないビルの中に入り、階段を上ります。そうして、ちひろさんはとある部屋の前で止まります。
「さあ、どうぞ」
 そうして、部屋の扉を開けます。それに吸い込まれるように、私は部屋の中へと入っていきました。
「……」
 案内された部屋の中には、誰かがいました。
以下略 AAS



15:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/08(日) 23:59:49.79 ID:tTAn3URP0
 絞りだした言葉を聞くと、フードの人は諦めたようでした。

「私は――」

 そうして、ゆっくりとフードをめくりあげます。
以下略 AAS



16:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/09(月) 00:01:09.36 ID:JSGxJH370
 きっと、目の前に居る人が『島村卯月』であるのは本当なんでしょう。
 だって、私が『島村卯月』と言うには、あまりにも不出来だから……
 今日まで『島村卯月』をやっていた私は、どうしても『島村卯月』になりきれなかった。
 それは、私が本物ではなかったから。
「ちひろさん、あとはお願いします」
以下略 AAS



17:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/09(月) 00:02:07.34 ID:JSGxJH370
「でも、今『島村卯月』と言う存在が失われると、社会的に大問題になる」
 シンデレラガール、島村卯月。一週間の休養でさえ、大騒ぎだったとプロデューサーさんは言っていました。
 もし仮に、突然引退となれば、その影響は計り知れないでしょう。
「だから、ステージに立てなくなったあの子に代わって、あなたが作られた」
 無言で、ただ頷きました。
以下略 AAS



18:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/09(月) 00:04:14.70 ID:JSGxJH370
◇◇◇

 ちひろさんに連れられてビルを降ります。そうして連れられた地下室からは、長い地下道が伸びていました。
 最初はいかにも無理やり掘ったような道でした。何度も何度も転びそうにありながら、ちひろさんが持つライトだけ頼りに進みます。
 やがて綺麗に整った通路に出ます。薄暗いけど僅かに明かりもある。明らかな人工の通路です。
以下略 AAS



19:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/09(月) 00:05:42.96 ID:JSGxJH370
◇◇◇

 草の匂いが香ってきました。お花屋さんでお花や植物の匂いはよく嗅いでいましたが、それとは全く異質な匂いがします。
 整った人工物ではなくて、枠に収まらない生命の力が宿った香り。
 光の先にあったのは、何処までも広がる草原。
以下略 AAS



20:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/09(月) 00:07:19.01 ID:JSGxJH370
◇◇◇

 ちひろさんに連れてこられたのは、何もないお部屋でした。
「――それでは、自分が二番目の『島村卯月』であることは知っているんですね」
 隠すこともないので、自分が知っていることを伝えました。もちろん、もう一人の『島村卯月』さんのことは伏せています。
以下略 AAS



21:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/09(月) 00:08:19.59 ID:JSGxJH370
「『島村卯月』たちは、旧世界の中でも一番幸せだった時代に生まれた少女です」
 人々が満足し、その先を求めなかった世界。枯れ始めていた地球に目も向けず、ただ娯楽をむさぼっていた時代。
「その時代、アイドルと言う存在は神にも等しいものでした。世界中の人が憧れ、彼女たちに夢中になっていた」
 それは、間違いなく人々にとって幸せな時代だった。
「その熱狂を再現して、人々を幸せだった時代に酔わせる。それが、『シンデレラ・プロジェクト』」
以下略 AAS



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