俺ガイルSS 『思いのほか壁ドンは難しい』 その他 Part2
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[sage]
2020/04/06(月) 08:19:28.00 ID:Qd5hvHO10
ぽっかりと空いた胸の穴に冷たい空気が流れ込む。
こうなるであろうことはある程度予期していたはずなのだが、いざそれが現実と重なると思考に感情がうまく追いつかない。
失意のあまりその場に立ち尽くす俺の耳に、どこか遠くで誰かを、或いは何かを呼ぶような声が聴こえた気がした。
男なのか女なのか、子供なのか大人なのか。もしかしたら空耳だったのかも知れない。それに今はそんなことはどうでも ――――
だが、それまで大人しく雪ノ下の腕に抱かれたままだった仔犬の垂れ耳がぴくりと動き、もたげた首をあらぬ方向へと巡らす。
そして次の瞬間、いきなり小さな身体をめいっぱいくねらせ彼女の腕から抜け出たかと思うと、短い脚を目いっぱい動かしながら一目散に走り出した。
雪乃「 ――――― え?」
咄嗟の事に何の反応もできず、言葉を喪ったまま茫然と仔犬の走る姿を目だけで追う ―――― と、
間の悪いことに、ロータリーの周辺に植えられた街路樹の陰、ちょうど俺達の死角になる位置から、音もなく一台の車が滑るように侵入してきた。
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