永琳「あなただれ?」薬売り「ただの……薬売りですよ」
1- 20
383:名無しNIPPER[saga]
2017/11/25(土) 22:19:41.35 ID:cTjbZ6OQ0


てゐ「……で、いつ戻って来たの?」

薬売り「つい先ほど……ちょうど、寅の刻を過ぎた頃合いでしょうか」

てゐ「あっそ。じゃあ……”先にうどんげと会ってきた”わけね」

薬売り「ええ……まぁ……」


 そう、この目前における、至要たる事実は決して忘れてはならない。
 この妖兎・てゐは此度の騒動に置ける唯一の生き残り。
 モノノ怪の神隠しを逃れし唯一の存在であり、なおかつこの消失劇を”他人事”のようにふるまい続けたあの態度は、決して忘れてはならない事実なのである。


てゐ「で…………うどんげは」

薬売り「行きましたよ……一足先に、ね」

てゐ「……あっそ」


 薬売りは慎重を期すかのように口数を減らした。
 それはやはり妖兎が、この期に及んでまだ態度を変えぬ事に一因する。
 その証拠に……薬売りの返答に対する妖兎の様相は、やはり顔色一つ変えぬままであった。
 悲しむでもなく喜ぶでもなく……同胞の兎が”どこに行った”のかなど、おのずと想像がつきそうな物なのに。


てゐ「あいつもバカよね。逃げるつもりで飛び出して、逆に取っ捕まってりゃ世話ないわ」

薬売り「見ておられたのですか……?」

てゐ「ハハ、違う違う――――想像よ」

てゐ「あいつがなんで逃げ出そうして、どんな決意で逃げて、んでどこで転んでほえ面下げたか……なんて」

てゐ「ほんともう、手に取るようにわかるわけ」


 そして薬売りは確信するに至る。
 やはりこの妖兎は、”全てを知っている”。
 先ほど玉兎が見せた、玉兎の中だけにある闇。
 してその闇に解を示す、真と理と――――


https://i.imgur.com/ZcU67Vs.jpg



薬売り「してその心は……」

てゐ「そんなの簡単な話よ」

てゐ「あいつ――――”バカだから”」

薬売り「…………」



 さらにはそれのみならず――――永琳、妹紅、姫君。
 彼女らが如何様な理を持ち、そして何ゆえにモノノ怪に狙われるに至ったか。


https://i.imgur.com/cltz2Fb.jpg


 妖兎は全てを知っている。
 故に深入りを避けた。
 それは――――”モノノ怪の獲物に自分が入ってない”と、密やかに確信していたから。
 もはやそうとしか考えられないのだ。



【確信】




<<前のレス[*]次のレス[#]>>
808Res/717.96 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice