永琳「あなただれ?」薬売り「ただの……薬売りですよ」
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名無しNIPPER
[saga]
2017/11/28(火) 01:26:43.78 ID:ZInpvyTS0
てゐ「う…………」
てゐ「ぐ…………」
薬売り「…………」
てゐ「…………んぉ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!」
それでも妖兎は、ついに意を決し――――退魔の剣へと手を伸ばした。
薬売り「おおっ」
瞬間――――ぬめりとした感触が、妖兎の掌に駆け巡った。
てゐ「…………」
そのぬめりは、手汗の感触であった。
自身でも気づかぬうちにかいた大量の汗が、当たり前のように感ずる触感すらも滲ませたのだ。
手汗が齎す滲んだ感触。
しかしそれは勝利の実感に同義。
その感触が掌に、しかと伝わる程に――――妖兎の手が今、確かなる勝利を掴んでいたのであった。
てゐ「と……とったどー……」
薬売り「おめでとう……ございます……」
この瞬間、妖兎は掟に基づき、晴れて勝者となった。
過程こそ意外であったものの、それでも勝ちは勝ち。
小さき掌に伝わる剣の感触は、紛れもなく勝者の感触と言えよう。
てゐ「……一つ、言っていい?」
薬売り「どうぞ」
得てして、妖兎の勝利は。もはや何人たりとも覆せぬ確かな”真”となった。
そんな勝利の実感に、思う所がないはずもなく……
妖兎は己が心中を抑えきれず、思うがままに、声高らかに吠えたのだ。
てゐ(うれしくねぇ――――!)
その心中は――――「やっぱり勝った気がしない」。
そんな思いで、満たされていたのだった。
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