永琳「あなただれ?」薬売り「ただの……薬売りですよ」
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420:名無しNIPPER[saga]
2017/11/30(木) 00:59:30.85 ID:rqejUdQb0


てゐ「この傷はね――――お師匠様曰く、”傷であって傷でない”の」

てゐ「だから治せないんだって。だって、傷なんてどこにもないんだからって」

薬売り「同時に起こりうる矛盾……まさに、箱の中の猫」


 して永琳は最終的に、実に頓珍漢な診断を下した。
 自身でもおかしいとわかりつつも、そう言うしかなかったのだろう。
 見るからに痛々しい無数の傷々。
 しかしその傷は、永琳だけが持つと言う、月の医学を用いて診れば――――
 はたまたどういうわけか、最終的に「無傷」と言う結果となってしまうのである。


てゐ「精々、簡単な薬草を貰うのが関の山だったわ。塗る奴と飲むタイプの奴」

てゐ「痛くなったら使えっつって。これって、本当の薬じゃないんでしょ?」

薬売り「ただの痛み止めですね……」


 これは先ほどの「すれてんがーの猫」とやらに酷似する。
 二つの事実が同時に内在する様。通常ならありえぬ、机上の空論の中だけに現れる矛盾。
 なはずが、どういうわけか……この妖兎の身にだけ、現実として引き起こされておると言うこの事実。


薬売り「なるほど……だんだんと、見えて来ましたよ」

てゐ「見えてきた……だぁ……?」

薬売り「ええ……今の話からして……貴方に起こった事とは」


薬売り「貴方が罹りし――――病とは」


 まさに妖の仕業と思しき、実に奇怪なる奇病。
 しかしその理は、やはり流石と言うべきか……
 双方を専門に扱う薬売りにだけ、推し量る事ができたのだ。





薬売り「――――【幻肢痛】ですか」





【幻】





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