313:カマクラ ◆2TFCMwLdkopd[sage]
2017/04/23(日) 19:41:10.12 ID:vesj2837O
 葉山が言い終える前に 
 雪ノ下は走り出した 
 その頬には、涙が伝っていた 
  
 葉山「…………最悪だ…」 
  
 八幡「…これで気が済んだか…俺は戻るぞ」 
  
 葉山「何で…何でだよ!」 
  
 八幡「………」 
  
 葉山「君だって…同じじゃないか…俺と……ゔっ……うぁあああ……」 
  
 泣き崩れるその姿は、 
 今まで見たことのない葉山隼人だった 
  
 たぶん、これが本来の葉山隼人なのだろう 
  
 俺達は、何処か似ているんだと思う 
  
 辿って来た道と、取り巻く環境が違えど 
  
 俺もコイツも、ただ本物が欲しいだけなんだ 
  
  
 …ポツ…ポツ……ザァァァアァァァァァア 
  
 八幡「…降って来たな…戻るか」 
  
 ガチャ 
  
 八幡「………!…由比ヶ浜…聞いてた、のか?」 
  
 由比ヶ浜「………来る途中、ゆきのんとすれ違ったよ…泣いてた、ゆきのん」 
  
 八幡「………」 
  
 由比ヶ浜「あっ…あのね…謝ろうと思って、来たの…昨日の事…」 
  
 八幡「いや、あの事は…言ってなかった俺が…」 
  
 由比ヶ浜「ううん…聞いて。アタシが悪いの…ヒッキーが話さなかったのは、アタシが傷つかないように…だよね」 
  
 八幡「……」 
  
 由比ヶ浜「ゴメンね……アタシ、頭の中ぐしゃぐしゃになっちゃって…ヒドい事言っちゃって…ヒッキーが気を使ってくれてるの、気づけなくて…グスッ…」 
  
 八幡「………」 
  
 抱きついて来た由比ヶ浜の身体は震えていた 
  
 涙交じりのか細い声で言葉を繋ぐ由比ヶ浜 
  
 掛ける言葉が見つからない 
  
 由比ヶ浜「ゴメンね…ヒッキー」 
  
 八幡「………」 
  
 由比ヶ浜「でもね…アタシ、怒ってるんだよ」 
  
 八幡「………」 
  
 由比ヶ浜「こんなやり方…ダメだよ…ヒッキーが傷つくだけじゃん…もっと…自分の事…大事にしてよ…」 
  
 八幡「………」 
  
 由比ヶ浜「辛かったら言ってよ…!話してよ…!大事な…友達じゃん…」 
  
 八幡「由比ヶ浜…」 
  
 由比ヶ浜「アタシは…ヒッキーやゆきのんみたいに、頭は良くないかもしれないけど…それでも…力になりたいよ…アタシの事…頼ってよ……ばか…」 
  
 八幡「………」 
  
 由比ヶ浜「アタシの居場所…守ってくれようとしたんだよね…でも…奉仕部だって、アタシの大切な居場所だよ…?」 
  
 由比ヶ浜「アタシ…変わらなきゃって…思ってたの。いつも人の顔色伺って、話合わせてさ…そういうの、やめたいって。」 
  
 由比ヶ浜「奉仕部に入って…思ったの。部室でお茶飲んで、お菓子食べて…ゆきのんと喋って…その横ではいつもヒッキーが本読んでて…3人でいっぱい話して…」 
  
 八幡「………」 
  
 由比ヶ浜「アタシ…あの場所が好きなの…自分らしくいられる場所だから…2人が居るから…」 
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