373: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/06/19(月) 22:48:05.21 ID:3i1wtBQb0
('A`)「……中佐」
(=#゚ω゚)ノ《マントイフェル少尉、繰り返すが命令だ!!速やかに部隊を纏めて帰還を───》
('A`)「30分だけ時間を下さい。
30分過ぎて敵艦隊に変化がなければ、“中佐の指揮で”オーデル川まで退却を」
(=;゚ω゚)ノ《………っ!》
バイクに跨がり、エンジンの回転数を上げながら空を見上げる。もう数え切れないほどの反復攻撃を続けているF-16の編隊が、バルカンを放ちながら通り過ぎた。
('A`)「………マンドクセ」
思わず、本音が漏れる。
俺は別に英雄願望も出世欲もないし、愛国心だって皆無じゃないが潤沢に持ち合わせているとは言い難い。
本当なら、今すぐ踵を返して逃げ出したいぐらいだ。幸いにしてイヨウ中佐から撤退の“命令”は既に下されている、仮にベルリンを捨てたとしても、軍法会議にかけられるようなことにはならないはずだ。………そもそも、軍法会議を開く上層部が生き残っているのかどうかも疑わしいしな。
俺達は十分に戦った。逃げる権利はあるし、艦娘や機甲戦力が損失する前に退却することは戦略的にも間違っていない。何よりも、中佐の言うとおりにした方が楽だ。死ぬ確率も、当然俺が今からやろうとしていることよりは遙かに低いだろう。
────だけど。
('A`#)「ジョルジュ、ティーマスとツン達を頼んだ!!」
_
(#゚∀゚)「飲み代一ヶ月おごりな!!」
('A`#)「死ねクソ眉毛!!」
こんな結末は、きっと誰も望んじゃいない。
リ級に立ち向かったフランス広場の警備隊も。
規格外の化け物と戦わされたベルリン市警も。
退役済の戦車で逃げずに深海棲艦に立ち向かった戦車隊の奴らも。
遠く離れたドイツの土地で死ぬことになった海兵隊も。
核が降り注ぐかも知れない国に飛び込んできたポーランド軍も。
今まさに侍のまねごとをしようとしているドイツ陸軍の中佐殿も。
もう一度ベルリンが灰になる様を見せつけられている艦娘達も。
死んでいった奴も、生きている奴も、こんな結末のために戦っていたわけじゃない。
ξ; )ξ「────ドk」
('A`)「ドイツ陸軍少尉、ドク=マントイフェルよりベルリン市内の全戦力並びにCPに通達!!」
これは俺の自己犠牲精神でも、愛国心でも、偽善ですらない。ただの自己中心的な責任放棄だ。
国を守るために死んでいった戦友だの、政治の壁を乗り越えて救いに来てくれた友軍だの、首筋が痒くなるような肩書きの奴らの「無念」を背負って生きる方が。
('A`#)「これより俺は、敵旗艦【軽巡棲姫】の撃沈に向かう!!総員、何としても現戦線を維持しイヨウ=ゲリッケ中佐の指揮下で反攻に備えよ!!」
“これ”よりも遙かに、マンドクセェ。
(#'A`)「───Los!!」
叫び、地を蹴り、絞っていたエンジンを解放する。
Kawasaki KLX250が、一声吠えた後西へと疾走を開始した。
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