96: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/05/12(金) 16:27:25.42 ID:cHXotTvn0
(`∠´)「そんな私を、一人だけ負かした奴がいてね。
いやぁ、アレは本当に苦い薬だったよ。何せ今私が将軍方に対して行った設定と同じ内容で、しかも私が優勢側で戦って負けたんだ。
手も足も出ない完封だった」
当時の悔しさを思い出したのか、ベルの視線がすっと細まる。
口元が不満げに尖っているのを見ると、未だに「苦味」は残っているようだ。
(`∠´)「その後何度も新しい作戦を考案し、何度もあらゆるシチュエーションで演習を挑んだ。だがその都度、私は手もなく捻られてね。
ふん、アイツのすました顔は今でもたまに悪夢に見るよ。今この瞬間も、奴さんは神経質な早口で部下に捲し立ててるんだろうさ」
「……ラインフェルト大佐、その話が今の我々の現状と何の関係が」
(`∠´)「その、唯一私の鼻っ柱をへし折った男は今、ベルリンにいる」
「………は?」
唐突に放たれた一言に、更に詰め寄ろうとした陸軍少佐の動きが止まる。
ベルは、机の上に一冊の冊子を置き、あるページを開いて指さした。
ベルリン戦車道博覧会のパンフレットの最後のページ。そこには、当日の会場警備を担当する陸軍将校の名が書かれている。
(`∠´)「君らの言っていることは、本来正論だ。
ベルリンに旅団規模の残存戦力がある、希望的観測だ。
東側は友軍が確保している、そんな保証はない。
我々の意図をくみ取り残存友軍は動いてくれる、作戦というのも烏滸がましい下らない言い草だ。
だが、彼がいるなら話は別だ」
(`∠´)「───イヨウ=ゲリッケが指揮を執っているなら、全ての事情が変わる。
間違いなく在ベルリンドイツ軍は私の予想通りの形で戦力を残し、間違いなく彼はこの罠の最中に飛び込んだ増援の意図を読み取って動く。
これは希望的観測でも楽天的妄想でもない、【イヨウ=ゲリッケ】という存在に基づいた明確な“事実”だ」
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