森久保乃々「ええっ。もりくぼ以外、もりくぼじゃないんですけど」
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21: ◆t6XRmXGL7/QM[sage saga]
2017/05/20(土) 01:48:31.19 ID:XLADNSTB0
右手を左手でつかんで、ぎゅっと力が入ります。見ている、見られてる、見られてる。
あっ、怖い……やっぱむぅーりぃー…………
手を見ているだけなのにどうしても緊張してしまって、力を込めた手のひらにはぶわーっと手汗が走ります。

「はぁっ!はぁ、はぁ……」

どーっと疲れが出てきて、もりくぼは思わず膝をつきました。
……わたし、いつもこんな感じで人と接してるんだ……

自分だけで自分を観察してるといつもは気にならないところまでくまなく目に入ってきます。
手に汗をかいた感覚、見られているという自覚。容赦なく突き刺さってきます。

そしてそんなプレッシャーに耐えられず、あっけなく屈した私のみずぼらしさ。
自信をつけるためだったのに、もりくぼはすっかり意気消沈してしまいました。
私は凛さんたちに、こんな姿を毎日、晒していたんだ……
そう考えるともうネガティヴな推測は止まりません。もしかしたらあの時、言葉にするのもおぞましい粗相をしでかしてしまったんじゃないか。
言ってはいけないことを言ってしまったのではないか。逆に、話しかけられたのに無視してしまったのではないか。
存在しないかもしれない過去を疑って反省と半数を繰り返しているうちに、もりくぼはもうボロボロになっていました。

「うぅ……」

もりくぼの自分改造計画は、前途多難でした。


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