9: ◆K5gei8GTyk[saga]
2017/05/28(日) 00:08:07.50 ID:Rwhrm4/q0
  「そうだなあ……いい歌だとは思うけど」 
  
  「そうで、ごぜーますか」 
  
  「仁奈は違うのか?」 
  
  そう聞くと、彼女は小さく頭を捻った。 
  
  「……よくわかんねーです。でもなんかこう、もやもやします」 
  
  
  大きな怪獣が砂漠に暮らしている、という歌い出しのその曲は、たしかに曲調の割に内容が明るくない。 
  
  曲中で怪獣は、ある朝に聞いたキャラバンの鈴の音を聞いて、思い立って住処である砂漠を捨てる。 
  
  海がみたい。人をあいしたい。その一心で。 
  
  ただそれだけの歌だった。 
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