15:名無しNIPPER[sage]
2017/05/31(水) 21:37:52.57 ID:k4J2UGZx0
署内に入った室井は革靴を響かせて会議室を目指す。道中の有り様は酷いものだった。
そこら中に便が撒き散らされ、署員が呻く。
凄まじい臭気が鼻をつき、胃液がせり上がる。
しかし、そんな中でも黙々と作業を続ける鑑識課の者達の前で、みっともない姿は晒せない。
上に立つ者の矜持が、室井の理性を守った。
落ち着きを取り戻した彼は、規則正しく靴音を響かせる。そして、刑事課の前に差し掛かる。
青島「……何してんすかこんなとこで?」
刑事課から顔を出した青島が、声を掛ける。
彼の問いかけに、室井は足を止めて答えた。
室井「今回の事件の陣頭指揮を任された」
青島「これがあんたの仕事っすか?」
室井「どういう意味だ?」
言わんとすることはわかる。青島の苛立ちも。
けれど室井は敢えて立ち向かう。
それもまた、上に立つ者の務めだった。
青島「あんた偉くなったんだ。うんこの事件を解決している場合じゃないでしょ?」
室井「この事件だからこそだ。これは極めて高度な政治的事案だ。だから私が派遣された」
青島「……また政治、ですか」
室井「言いたいことがあるならはっきり言えっ!」
こちらの言い分をせせら笑う青島に腹が立って、室井は怒気を露わに詰問する。
つい、胸倉を掴んでしまった。それでも、離さない。それが、不器用な室井のやり方なのだ。
38Res/41.23 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20