佐久間まゆ「瀬をはやみ、ですよ」
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9: ◆XUWJiU1Fxs[sage]
2017/06/02(金) 23:25:21.34 ID:msBbbnVco
「今までお世話になりました!!」

 プロデューサーさんがアメリカへと旅立つ日が近付いてきました。その間、プロデューサーさんが気を使ってなのか私と接する時間はほとんどありませんでした。少しの間だったのに、それすらも永遠のように思えて。これから本当に離れ離れになってしまったとき、私はどうなってしまうのか……本音を言えば、自分でも怖いです。

「プロデューサーさん、少し……歩きませんか? 会えなくなる前に、伝えたいことがあるんです」

「分かった」

 事務所を二人でこっそりと出て、夜道を歩きます。春の麗らかさも鳴りを潜めて、梅雨のジメジメとした空気が私たちを包みますが隣に彼がいるということが、不快さを感じさせませんでした。彼も同じことを思っていてくれたのなら、嬉しいな。

「こうやって一緒に歩くと、いつかのアニバーサリーを思い出すな」

「はい。事務所にとって大切な日のお仕事をまゆに任せてくれて……本当に、嬉しかったんですよ」

「そうか。それはなによりだね」

 他愛のない話をしながら、本題を切り出すにはまだ早くて。もう少し、もう少しこの時間が続けばいいと願っていたのに。

「それでまゆ、話ってなんだい?」

 どんなに夢のような時間であっても、いつかは終わりが来る。その瞬間に悔いを残さないように、私はあの言葉を伝えたんです。


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