【モバマスSS】中野有香「ありがとう、これからずっと」
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12: ◆kmaH6vzpLQ[sage]
2017/06/04(日) 21:48:44.96 ID:ZxixxFvh0
 「どうした? 少し元気が無いように見えるが?」

 「押忍! プロデューサー! いえ、ちょっと昔を、あたしがアイドルになったばかりの頃を思い出していまして」

 「昔って言っても、そんな前じゃないだろう? ……ま、色々あったからな、ずいぶん昔のことのように思えるってのは分かる」

 「そうですね、ほんと、色々ありました」

 CDデビュー記念ライブ前夜。最後のリハーサルを終えたあとの事務所で、あたし達の声だけが響きます。

 「いよいよ、明日が初ライブ、なんですね」

 「ようやく……ようやくここまで来ることが出来ました」

 その事実を噛み締めていると、胸の昂ぶりが抑えられなくなってきます。緊張や不安は不思議とありません。ただ、早く歌を大勢のお客さんの前で披露したい……それだけです。

 「明日のライブは、俺達のひとつのゴールでもあり、通過点でもある」

 「今のお前なら大丈夫だ。最高に楽しんで来て欲しい」

 「押忍! 中野有香、最高の初ライブにしてみせます!」

 もう大丈夫、プロデューサーさんと一緒なら、どんな道でも進めますから。

 「……それにしても、有香、変わったなぁ」

 「はい? あたし、どこか変ですか!?」

 「いやいや、そういうことじゃなくってだな……」

 「その……マジで可愛くなったと、思う」

 「……ふぇえ!?!?」

 な、いきなり何を言っているんですかプロデューサーさんは!!

 「とても服一着選ぶのにわたわたしていた女の子とは思えない」

 「あ、あれはですね……まだ不慣れだったから仕方ないと言いますか……そんなこともあったなぁと言いますか……」

 「……でも、あのときプロデューサーさんが言ってくれた、お前はこんなにも可愛いって言葉があったから、あたしは女の子としての自信が付いたんです」

 「それまで可愛さとは無縁の世界にいたあたしでも、こんな可愛い格好をしてもいいんだ、って」

 プロデューサーさんが示してくれた、あたしの新しい可能性。そういったものの上に、今のあたしは成り立っているのだなと思います。

 「ははははは、やはり俺の目に狂いはなかったな」

 「中野有香は、俺の自慢の『可愛いアイドル』だよ」

 少しおどけるように、でもしっかりとあたしの目を見ながら。その力強い眼差しに負けないように……あたしも。

 「押忍!! プロデューサーさんも、あたしの自慢のプロデューサーさんです!!」

 二人で歩んできた道の最初の到達点は、いよいよ明日、です!!


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