恵美「あの人と、結婚した。」
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1: ◆T4kibqjt.s[saga]
2017/06/06(火) 21:32:18.31 ID:T5tfdE0X0
「俺と、結婚を前提に付き合って下さい」



今から数ヶ月前、アタシがアイドルを引退してしばらく経ったある日。突然プロデューサーに呼び出されてそう言われた。

その時のアタシはすっごくびっくりして、それと同時にすっごく嬉しかった。それこそ、思わず二つ返事でOKしちゃいそうになるくらいね。

けど、アタシはその告白を断った。だって、アタシなんかじゃプロデューサーと釣り合わない。幸せに出来ない。相応しくない。そう思ったから。だから、ありったけの力を振り絞って断った。

遠くで見てるだけで…たまに会って話せるだけで、アタシは十分幸せだったからね。贅沢言えないよ。

だけどプロデューサーはしつこくて、諦めなかった。…いや、諦めないでくれた。恋愛耐性のないアタシが大好きな人の猛アタックに耐えられる筈もなく…琴葉とエレナの協力もあって、アタシはオトされちゃった。



そして、それから。

アタシとプロデューサー…Pは一緒になった。


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2: ◆T4kibqjt.s[saga]
2017/06/06(火) 21:34:51.14 ID:T5tfdE0X0
それからの毎日はまるで、それまでの人生が白黒の世界だったかの様にキラキラ輝き始めた。どんな時も、何をするにも彼と一緒。それだけなのに、世界が違って見えたの。

アタシが悲しい時は彼が慰めてくれて、彼が辛い時はアタシが慰めてあげる。アタシに良い事があれば彼に伝えて二人で喜んで、彼に良い事があれば教えて貰ってアタシも喜ぶ。


以下略 AAS



3: ◆T4kibqjt.s[saga]
2017/06/06(火) 21:36:03.05 ID:T5tfdE0X0



…でも、今は違う。全っ然幸せなんかじゃない。多分、今が人生で一番辛いよ。誰か助けて…

以下略 AAS



4: ◆T4kibqjt.s[saga]
2017/06/06(火) 21:37:43.39 ID:T5tfdE0X0
泣いて泣いて泣きはらして、何回も強く擦り過ぎて目が痛い。あんまり眠れてないせいか、体が重い。なんにもやる気にならない。胃に重い物を無理やり詰め込まれたような気分。これ、考えうる限り最悪な状態ってやつ?


アタシ、もうこんな毎日耐えられない。もうやだよ…



5: ◆T4kibqjt.s[saga]
2017/06/06(火) 22:23:18.27 ID:T5tfdE0X0
数日前の話。


ガチャン、と玄関の扉を開ける音が聞こえた。

以下略 AAS



6: ◆T4kibqjt.s[saga]
2017/06/06(火) 22:24:02.58 ID:T5tfdE0X0
「しゅ、出張…?」

受け入れがたい事実を聞かされたアタシは、Pからカバンを受け取ろうとした手を伸ばしかけた姿勢のままフリーズしてしまった。

「それって、どれくらいの期間なの…?」
以下略 AAS



7: ◆T4kibqjt.s[saga]
2017/06/06(火) 22:24:37.63 ID:T5tfdE0X0
それから数日後の早朝。


「忘れ物はない?大丈夫?」

以下略 AAS



8: ◆T4kibqjt.s[saga]
2017/06/06(火) 22:27:07.16 ID:T5tfdE0X0
どちらからともなく、見送りの時に通るいつもの道をいつもより遠くまで、いつもよりゆっくり歩く。すぐそこまで迫ってきてるその瞬間を、少しでも遠ざけるかのように。

けど、やっぱり現実を見なくちゃいけなくて。

「もうこの辺でいいよ。ありがとう」
以下略 AAS



9: ◆T4kibqjt.s[saga]
2017/06/06(火) 22:27:46.78 ID:T5tfdE0X0
「すぐ帰ってくるから、良い子にお留守番してるんだぞ?」

Pが今起こった事を誤魔化すかのようにニヤニヤしながら、アタシの頭を撫でてからかうような口調で言った。…あ。湿っぽくならないように、元気づけようとしてくれてるのかな?よぉし、それなら。

「もー、子供扱いしないでよねっ!アタシもうオトナなんだから!お酒だって飲めるもんね!ばーかばーか!」
以下略 AAS



10: ◆T4kibqjt.s[saga]
2017/06/06(火) 22:28:50.29 ID:T5tfdE0X0
愛の言葉を貰った時の幸せなお熱が冷めたのは、意外とすぐの事だった。帰宅してからの誰も居ない空間の静けさが逆に、うるさいくらいに現実を思い出させてくれたから。


どこを見るともなく食器を洗いながら、ぼんやりと明日からの事を考える。かといって考えが纏まる訳もなく。テレビはただ適当につけっぱなしにしてるだけだから、内容は全く入ってこない。いつもならそんな事しないけど、今はちょっと…ね。…注意してくれる人もしばらく居ないし。

以下略 AAS



11: ◆T4kibqjt.s[saga]
2017/06/06(火) 22:29:45.26 ID:T5tfdE0X0
今日はここまで。
それでは、おやすみなさい。


12:名無しNIPPER[sage]
2017/06/06(火) 23:29:29.53 ID:QuMo7+/aO
最近のミリマスSSは鬱系が多いなと思っていたが
これなら安心だな(慢心)


13:名無しNIPPER[sage]
2017/06/06(火) 23:47:11.58 ID:c1h7+sMZo
交通事故とかいらんぞ…


14:名無しNIPPER[sage]
2017/06/07(水) 00:17:18.62 ID:pVDmES0BO
こういうのでいいんだよこういうので


15:名無しNIPPER[sage]
2017/06/07(水) 00:58:13.26 ID:w/guoPyGO
まーたシリアスかと思ったらイチャラブだった

最高かよ


16:名無しNIPPER[sage]
2017/06/07(水) 15:31:06.29 ID:ZlqIEEAso
出張先=琴葉の家


17: ◆T4kibqjt.s[saga]
2017/06/07(水) 21:51:59.30 ID:MX9h6kd3O
その日の夜。

ぐでーっとだらしない格好でぼんやりとテレビを見ていると、ふいにアタシのスマホに着信音が鳴った。この着信音は…!それを聞いた途端、水底に沈みかけていたアタシの心が浮き上がる。急いで通話マークをタップする。

「あ、もしもし。恵美か?」
以下略 AAS



18: ◆T4kibqjt.s[saga]
2017/06/07(水) 22:23:16.63 ID:PvVga9Ij0
「じゃ、また明日な。おやすみ」

「ん。おやすみなさい」

「……………」
以下略 AAS



19: ◆T4kibqjt.s[saga]
2017/06/07(水) 22:24:26.11 ID:PvVga9Ij0
ガチャ。ツーツーツー。

「…はぁ」

電話が切られると同時に、アタシは二人の世界から自宅へと引き戻された。
以下略 AAS



20: ◆NdBxVzEDf6[sage]
2017/06/08(木) 00:19:38.24 ID:DqUMAeov0
恵美……

所恵美
i.imgur.com
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21: ◆T4kibqjt.s[saga]
2017/06/08(木) 00:47:58.19 ID:79yQv8dM0
「…うーん」

手首を使いフライパンをしゃかしゃか動かすが、何かおかしい。全然気分が乗らない。料理ってこんなに楽しくなかったっけ?確かアタシ、料理するのが楽しくて仕方なかった筈だけど…

「…あ」
以下略 AAS



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