45:名無しNIPPER[saga]
2017/06/11(日) 21:52:45.90 ID:BCTrOgblO
 触れずに離れていった手が、どうしても気になってしまって。 
 梨子ちゃんの背中側の制服の裾をつかんだ。 
 いけないと分かっていた。 
 だって、千歌ちゃんがいるのに。 
 私が甘えていい人じゃないんだよ。 
  
 「梨子ちゃん……今の信じていいの」 
  
 「信じる信じないは曜ちゃんの好きにして」 
  
 私こそ、梨子ちゃんに何を期待しようとしているの。 
  
 「信じたい……私、梨子ちゃんを信じたいよ」 
  
 ダメだよ。 
 優しい人が、自分にだけ優しいなんて、そんな都合の良い事ないもん。 
  
 「曜ちゃんが信じてくれるなら、約束するね」 
  
 梨子ちゃんの手が、私の頭に触れた。 
 彼女の笑顔が、目の前にあった。 
  
 「あなたから離れない」 
  
 「……あ」 
  
 「早く、戻ろう」 
  
 手を引っ張られて。 
 駆け足で、教室へ急いだ。 
 千歌ちゃん。 
 千歌ちゃんが、梨子ちゃんを好きになった気持ちがなんとなく分かったよ――。 
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