魔女「死者に会いたい?」
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38:名無しNIPPER[saga]
2017/06/11(日) 22:28:52.14 ID:WhiCH+lDO
『それはつまり彼女の魂がここにないという事になるわね』

剣士「は…?」

『あなた、本当に彼女の死を確かめた?』

剣士「……いや」

『ならどうして死んだと分かるの?』

剣士「俺は確かに血を流して倒れる彼女に遭遇した…」

剣士「駆け寄ろうとしたが魔物や黒魔術師に行く手を阻まれ……」

剣士「混濁した渦中を無我夢中で切り抜ける間に…彼女の遺体は消えていた」

『探さなかったの?』

剣士「探したさ!国王にも掛け合って国を挙げて捜索した!だが影も形も見当たらなかった…」

剣士「長い捜索も虚しく魔物に遺体を喰われたんだろうと結論が出たんだ…。そうでなかったら、とうに姿を表してる筈だからな」

『彼女、英雄の一角を担う程の魔法使いだっけ?』

剣士「あぁ、それがどう…」

『逃げられたんじゃない?』

剣士「逃げ…?は?なんの事だ?」キョトン

『同じ魔道に精通するあたしから言わしてもらうと、一定以上の魔力を持つ人間が分かりやすい痕跡を残して死ぬとは思えない』

剣士「な、なんだ。また悪い冗談か?気休めはよしてくれよ!彼女は死んだんだ!」

『あのね、魔力ってのは一握りなの。ごく僅かな限られた人間にしか使えない特別な才能』

『あの数の魔物を蹴散らしたあなたでさえ潜在魔力は皆無。ただの腕っぷしが強い人間』

『だけど彼女は魔法を使えた。それもあなた並みに実力のある魔法使い』

『そういう魔法使いは自らの死を悟った時、最後の力を振り絞って魔力を解放する。とてつもない力のこもった爆発的な魔力をね』

『それはなぜかと言うと魔物によって体内に宿る魔力を奪われない為。魔物の起源は魔力の暴走による突発的な誕生だから生命力の源として魔力を好む傾向にある』

『魔道を心得る者なら、これは常識。知らなかったとしても彼女ほどの魔力を吸収した魔物なら人間の手に負えないくらい凶悪化する筈よ』

剣士「だ、だが女騎士は殺したと!」

『本当にそう言った?』

剣士「……!」

『殺したって、はっきりと?』

剣士「言った…ような気が」

『それじゃどうして彼女の魂はここにはなくて、女騎士の魂はここにあったのよ?』

剣士「」ハッ


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