41:名無しNIPPER[saga]
2017/06/11(日) 22:31:17.94 ID:WhiCH+lDO
「ここはどこ…?」
「魂の牢獄……そう。ここに息子がいるんですね」
「分かりました。息子に会えるなら、なんでもします」
ボッ
「青い火の玉…」
シュワシュワシュワン
「………」
ポツン
「え……」
「あなたは…ち、違うの。私、たまたま、あの場から離れて…」
「いいえ!そうじゃない!信じて!」
「ひっ…来ないで!」
「……!」
「……そうよ。悪い?」
「あなたとはいいパートナーだったわ。でもそれはあくまで仲間としてよ」
「なんにもないのに恋人呼ばわりされて、こっちはいい迷惑よ!」
「周囲からも英雄同士でお似合いだとか持て囃されて辟易してた」
「おまけに訳の分からない嫉妬に狂った女にまで狙われて…勝手にすればいいのに」
「……話にならないから動けない程度に怪我を負わせて追い払ったわよ。でもあれで完全に嫌気が差したわ」
「えぇ、その通りよ。私は死んでなんかいない。転移魔法で遠方の国まで逃げて静かなエルフの森に身を移したの」
「エルフは人間と不干渉を貫いているけれど根は穏やかで優しい種族だし、何より私たちのような魔力を秘めた人間は手厚くもてなしてくれる」
「あなたに追われない為でもあったけどね。まさかエルフの里にいるとは思わなかったでしょう?」
「……だから私はあなたに恋慕なんか抱いてないってば」
「何度言わせるの?いーい?私には夫も子供もいるの!あなたじゃなくて、愛する家族がね!」
「……相変わらずね。自分に都合のいい事しか信じない。妄信的でも正義に生きるあなたは素敵だったけど、そこだけが受け付けなかったわ」
「私?私は息子に会いに来たのよ。あなたでなくて、息子に」
「息子は…つい先日、不慮の事故で亡くなってしまったの。突然のことで…私が目を離したりしなかったら…!」
「きっと寂しがってるわ…。あの子、甘えん坊でよく私の膝にしがみついてたもの」
「だから、ちゃんとお別れしてあげなきゃ…あの子を悲しませたままにしたくないの。あなたに構ってる暇なんて…!」
「…え?」
「どうしてあなたが謝るのよ?」
「……」
「……ううん、ごめんなさい。私の方こそ」クスッ
「あなたとは本当に最高のパートナーだと思ってた。もちろん本心よ」
「ただあなたは…人より純粋すぎたのよ。私たちがいろんな人から疎まれてた事も気付いてなかったでしょう?」
「うん……うん……」
「そう…。ここはそういう場所なのね。ありがとう。私、頑張るわ」
「えぇ、あなたも…元気でね」
シュウウウ
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