16: ◆G4Z1KppkgXoT
2017/06/29(木) 21:21:17.33 ID:6oxFMaR3O
 彼女の目元から一筋の涙が溢れた 
  
  
 「…………ありがとう」 
  
  
 『ありがとう』 
  
 かすかな声で、そう、彼女は確かに言った 
  
 彼女と交わしたはじめての言葉 
  
  
 そう言うと彼女は低く声をあげて泣き始めた 
  
 つられてあたしの目からもぽろぽろと大粒の涙が出てきた 
  
 彼女の頭を抱きしめるように腕を回して、二人でしばしの間泣きあった 
  
  
 『ありがとう』 
  
 そうか、あたしが今日した事は、やっても良い事だったのか 
  
  
 中野有香は選択肢を間違い続ける 
  
  
 しかし今だけは、この選択を間違いだとは思わない 
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