【デレマス】「先輩プロデューサーが過労で倒れた」完結編
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◆Z5wk4/jklI
[saga]
2017/07/15(土) 00:29:47.63 ID:JPdS/Cks0
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「ほたる、そのままじゃ風邪ひくぞ。会場のスタッフに依頼して控室に着替えを用意してもらった。フェスティバルは押しで決行だそうだから、始まる前に着替えてくれ」
「はい、ありがとうございます」
雨の上がったビアガーデンで、ずぶ濡れのほたるは頭を下げる。さっきまでとは違って、どこかすっきりした顔をしていた。
「プロデューサー、アタシたちの分は……」
同じくずぶ濡れの比奈が尋ねるが、俺は笑って首を振る。
「ない。オフのお前たちにまで用意する理由がないだろ?」
「まぁ、そうっスけど」
比奈は不満げな顔をする。
ちなみに、ほたるの分も予想外の出費なので、経理担当が首を縦に振らなければ俺の自腹になる可能性があるのだが、五人の前では口に出さないことにした。
「お前たちも風邪ひくとよくないからな。せっかく来たとこ残念ではあるが、体調管理はしっかりしろ。近くにいくつか銭湯がある。そこの入浴代くらいなら出してやるぞ」
「うーん、残念ですけど、プロデューサーの言う通りです。仕方ないですね。ほたるちゃんの最初の声だけ聴いていきましょうか」
春菜が言うと、茜、比奈、裕美が頷いた。
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それからほどなくして、ジャズフェスティバルのビアガーデン会場公演は、当初より予定を遅らせて開催された。
「大変長らくお待たせいたしました。ジャズフェスティバル、ビアガーデン会場、公演開始いたします」
雨の上がった会場には、ほたるのアナウンスの声が響き渡る。
その声は明るく、迷いはもう見えない。
一組目のバンドの演奏が始まり、ほたるはマイクのスイッチを切る。それから、胸に手を当てて、ふぅ、と深く息をついた。
「緊張してるか?」
俺はほたるに尋ねる。
「はい。……不安なんです」ほたるは困ったように笑う。「こんなに幸せに思えることって、いままでなかったんです。楽しいって思ってもいいなんて、なんだかまだ慣れなくて。……アイドルになることを、あきらめないで、よかった」
ほたるは目を細めた。
「……そうだな」
俺も目を細める。ほたるは、あきらめなかったから、届いた。
「いつかきっと、この幸せを皆にも届けられるように、頑張ります。お返ししなくちゃ……勇気、幸せ、想い出、たくさん、大切なものをもらったから」
そう言って、ほたるは俺に笑いかけた。
ほたるはもう、大丈夫だろう。
第九話『合い言葉は勇気』
・・・END
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