智絵里P「ちょっと恋愛相談に乗ってもらいたいんだけど」緒方智絵里「!?」
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1: ◆E055cIpaPs
2017/07/05(水) 21:09:42.09 ID:oFThaKWS0
「ご、ごめんなさい、プロデューサーさん。遅くなってしまって」

「本当はちひろさんみたいな服を着てくるつもりだったんですけど、杏ちゃんときらりちゃんが服を用意してくれて、断れなくて」

「えへへ、二人が用意してくださった服……とっても可愛くて。どうしても着てみたくなってしまって」

「あ、あんまり胸は見ないでください。チョ、チョップです……」

「はい。今日は頑張ってプロデューサーさんのデートの練習にお付き合いします。きっと、お役にたってみせますからっ!」

「ふぁ、ふぁいとっ、です。今日は私のことはちひろさん……じゃなくて、ち、ちひろって呼んでください!」


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2: ◆E055cIpaPs
2017/07/05(水) 21:11:43.94 ID:oFThaKWS0
カレンダーを三日ぐらい前に戻って、場所は事務所からちょっとだけ離れた喫茶店に移ります。

 レッスン終わりで嫌がる杏ちゃんに無理を言って一緒に来てもらった喫茶店は、私が知っているお店よりもだいぶ大きな音で有線放送が流れているせいなのでしょうか、私達ふたりしかお客さんは居ませんでした。

「えっ」「智絵里ちゃん担当プロデューサーさんから恋愛相談をされたの?」
以下略 AAS



3: ◆E055cIpaPs
2017/07/05(水) 21:13:30.14 ID:oFThaKWS0
「どうして?」

 プロデューサーさんに頼られるまで成長できたこと、そしてこんなダメな私をあんなに立派なプロデューサーさんが信頼して頼ってくれたことへの感謝の気持ちで私は胸がいっぱいで、そうやって少しだけ前に進めたことを杏ちゃんは私と一緒に喜んでくれるんじゃないかなって思ったんですけど。

「智絵里ちゃんが良いって言うなら杏が何か言うことでもないけどさぁ」
以下略 AAS



4: ◆E055cIpaPs
2017/07/05(水) 21:14:47.03 ID:oFThaKWS0
「ああー、うん。そういうことかぁ。人のことは言えないけど、智絵里ちゃんもあのプロデューサーさんもお互い恋愛経験がねぇ……」

 そういいながら杏ちゃんはあたまを抱えて机に覆いかぶさりました。

「もう、わかったよ。面倒臭いけど、相談に乗るよ」
以下略 AAS



5: ◆E055cIpaPs
2017/07/05(水) 21:17:08.24 ID:oFThaKWS0
「いくら練習だとはいっても、智絵里のことを他の女の子の名前で呼ぶことはできないよ」と、言ってくれたプロデューサーさんを、私はまずは杏ちゃんと相談しながら考えた喫茶店に案内しました。

 プロデューサーさんの役に立ちたくて考えていたアイディアをさっそく二つも失ってしまって、相変わらずの自分の駄目さに少し凹んでしまったけど、どうしてか体がぽかぽかするような気がします。

 夏の日差しのせいでしょうか。心臓がいつもよりもたくさん動いて、いろいろな言葉が頭の中にふわふわと浮かんできてしまって、まるで浮かれてしまっているようで恥ずかしくて。
以下略 AAS



6: ◆E055cIpaPs
2017/07/05(水) 21:23:50.28 ID:oFThaKWS0
 それから私たちはクローバーをイメージしたチャイムベルで遊んでみたり(プロデューサーさんは優しいので、私にベルを鳴らさせてくれました)。

 二人でメニューを眺めたり、注文したカラフルなゼリーポンチを前にしてなんとなく写真を撮るのを我慢したり、それをプロデューサーさんに見破られてちょっとだけからかわれたり。

 真っ黒なコーヒーに何も入れないまま口にするプロデューサーを眺めたり、「少し飲んでみる?」と誘われて、いきなりの間接キスにドキドキしていたらびっくりするぐらい苦くって、すこし泣いてしまったり。
以下略 AAS



7: ◆E055cIpaPs
2017/07/05(水) 21:25:41.70 ID:oFThaKWS0
「このお店、実はかなこちゃんに教えてもらったんです。今日は注文しなかったんですけど、本当はタルトがとても美味しいおみせなんです」

 きっと私たち二人じゃ食べ切れないんで注文しなかったんですけど、またこんど皆で来た時はきっと食べましょうね。

タルト、白ノワールぐらい大きくて、美味しくて、凄いんですって。
以下略 AAS



8: ◆E055cIpaPs
2017/07/05(水) 21:31:06.92 ID:oFThaKWS0
 智絵里がそこまで言うなら今日だけは見なかったことにしよう、と言ってくれたプロデューサーさんと一緒に、私は公園を歩いていました。

 「かなこちゃんはライブ前で、今はレッスンが大変な時期ですから……」

 いつだってお仕事に熱心なプロデューサーさんは、同じ事務所のアイドルが少し食べ過ぎているところを結果的に見過ごしてしまったことを悔やんでいるみたいで、どうやら少し表情に元気が無いように思えます。
以下略 AAS



9: ◆E055cIpaPs
2017/07/05(水) 21:35:39.12 ID:oFThaKWS0
 喫茶店から何分か歩いた教会の、たくさんの花で飾られた壁の前に私たちはいました。

 私と同じ年ぐらいだったり、プロデューサーさんと同じ年ぐらいだったり。

 いろんな年齢の男の人と女の人が壁の前に並んで写真を撮って、それから少し離れたところでスマートフォンを操作しています。
以下略 AAS



10: ◆E055cIpaPs
2017/07/05(水) 21:36:56.93 ID:oFThaKWS0
 「写真、撮らないんですかぁ?」

 そうやって、何をするでもなく二人で境界の前で記念撮影をしているひとを眺めていると、すぐ隣から聞きなれた声が聞こえてきました。

 「まゆも、ここでお友達とここで写真を撮ったことがあるんですよ?」
以下略 AAS



11: ◆E055cIpaPs
2017/07/05(水) 22:01:31.72 ID:oFThaKWS0
 「そんなに驚かれると、びっくりしちゃいます」

 少し大きな声でを出して吃驚してしまった私の口をやさしく人差し指で塞ぎながら、

「ここ、まゆの学校からの帰り道なんです」「そういえば智絵里ちゃんにはお話したことありませんでしたね」
以下略 AAS



12: ◆E055cIpaPs
2017/07/05(水) 22:03:14.97 ID:oFThaKWS0
 「ほら、とてもお似合いですよ。オフにお二人でデートなんて、まゆ、とっても妬けちゃいます」

 そう言ってまゆちゃんは私に、さっきまでに比べて何倍も重たくなったような気がする携帯電話を手渡してくれました。
 
 「貸一つですよ、代わりにまた今日のデートのお話、聞かせてくださいね。まゆ、とっても楽しみにしてますから」
以下略 AAS



13: ◆E055cIpaPs
2017/07/05(水) 22:06:21.61 ID:oFThaKWS0
 次に私達は、アイドル喫茶というアイドルを目指している女の子達が働いているお店に来ました。

 ステージの上では凛ちゃんや飛鳥ちゃんみたいなカッコイイアイドルで、すらっとした体をいっぱいに広げたダンスをしながら歌を歌っています。

「ごめんなさい、最後までちひろさんの趣味ってコスプレしか分からなくって」
以下略 AAS



14: ◆E055cIpaPs
2017/07/05(水) 22:40:21.61 ID:oFThaKWS0
 いろんな方に相談する中で、沢山のコスプレ衣装が常備されているお城のような場所のことを教えてくれた方がいました。

 そこで、カラオケだったり、ゲームだったりをする友人がいる、と。

 私だって、子供じゃないですから、そこがどういう場所か分かっているつもりですし、教えてくれた方がとても言いにくそうな顔をしていたことを考えても、きっとそれは間違いじゃないんだと思います。
以下略 AAS



15: ◆E055cIpaPs
2017/07/05(水) 22:42:01.76 ID:oFThaKWS0

 私はプロデューサーさんのアイドルで、だからそれで十分な筈なのに。
 私はプロデューサーさんのアイドルで、それだけでも十分に幸せなのに。


以下略 AAS



16: ◆E055cIpaPs
2017/07/05(水) 22:44:20.08 ID:oFThaKWS0
 「ああ、in factじゃないか」

 自分の気持ちに気付いて欲しい、こんなに好きなのにどうしても想いが伝えられないというテーマこそはよくあるアイドルソングだけど、それを流行のポップな曲調でごまかさずにどこまでもどこまでも素直に表現した名曲だよな、歌唱力がとことんまで問われてなぁ……と、プロデューサーさんは流れてきた知っている音楽に話題をそらしてくれました。

「あの娘のプロデューサーとは同期なんだけどさ、あいつ自分の担当アイドルがずっと歌っている間、異常に目が合うって悩んでてさ」
以下略 AAS



17: ◆E055cIpaPs
2017/07/05(水) 22:49:25.04 ID:oFThaKWS0
―――もっと、素直になれたら
―――仕舞い込んでしまうのは何故?

 あの女の子はきっと、ありすちゃんのような素敵な恋をしているのだと思います。

以下略 AAS



18: ◆E055cIpaPs
2017/07/05(水) 22:55:32.87 ID:oFThaKWS0
 「やっぱり!」「私もそう思ってた!」

という声と一緒に集まってきた、お店のスタッフの皆さんと握手をしながら、私との間に入ってその人たちの相手をしているプロデューサーさんを、まるで夢を見ているような不思議な気持ちでみていました。

だって、こんなにたくさんの人たちが、プロデューサーに魔法をかけてもらっているわけでもない私の所に集まってくれるだなんて、本当に初めてのことだったたから。
以下略 AAS



19: ◆E055cIpaPs
2017/07/05(水) 22:57:42.61 ID:oFThaKWS0
 「ところで、隣の方は彼氏さんですか?」

 たくさんの嬉しい言葉をかけてもらっている中の、その一つの質問がまるで、スローモーションのように私をゆっくりと震わせているのを感じました。

 「絶対に誰にも言わないんで、私たちにだけこっそりと教えてくださいよ」「もー、〇〇ったらだめだよー」「えー、でも気になるじゃない」
以下略 AAS



20: ◆E055cIpaPs
2017/07/05(水) 23:00:07.36 ID:oFThaKWS0
 ちょっと騒ぎになっちゃったから、ちひろさんに報告だけしてくると残して席を外して去って行くプロデューサーさんを尻目に、私は「せっかくの機会ですから♪」と言って誘ってくれた菜々ちゃんに連れられて、普段は見られないお店の裏側を案内してもらっていました。

「実はこのお店、もともとは菜々がアルバイトをしていたメイド喫茶なんですよ」

「菜々ちゃんがデビューしたのを追っかけてみんなメイド服着たままアイドル活動始めちゃったんだよね☆」
以下略 AAS



21: ◆E055cIpaPs
2017/07/05(水) 23:01:44.54 ID:oFThaKWS0
「でも、違うんです。だって、私なんかじゃプロデューサーさんと釣り合いませんから」
 
 だって、プロデューサーさんには好きな方がいらっしゃるんですからと、万が一にもプロデューサーさんのご迷惑にならないために絞り出した言葉を、また勝手にずきんと痛む胸が邪魔をします。

 「私はプロデューサーさんのアイドルですから」
以下略 AAS



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