緒方智絵里「あなたと過ごす、特別で怠惰な一日」
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2017/07/13(木) 06:38:19.58 ID:BU9z89DK0
 しかし、見つめる対象は四方八方、全方位に広がる闇の景色とは違う。 
  
  
 少女が見つめるのは、約一メートル先にある水たまりの様な、底の見えない池。 
  
6:名無しNIPPER[saga]
2017/07/13(木) 06:39:04.34 ID:BU9z89DK0
 「……」 
  
  
 彼女はしばらく水面を見つめた後、乗り出していた体を元に戻した。 
  
7:名無しNIPPER[saga]
2017/07/13(木) 06:40:05.45 ID:BU9z89DK0
 「……やっぱり、駄目なんだ」 
  
  
 少女はその光景を目の当たりにすると、淡々とそう口にした。 
  
8:名無しNIPPER[saga]
2017/07/13(木) 06:40:38.85 ID:BU9z89DK0
 彼女の手の中にあるのは、ハート型をした緑色の葉っぱを四枚も生やした四つ葉のクローバー。 
  
  
 それを小石の時と同じ様に放り投げるのでは無く、膝を屈めて姿勢を低くすると、水面に持っていたクローバーをそっと浮かべた。 
  
9:名無しNIPPER[saga]
2017/07/13(木) 06:46:11.05 ID:BU9z89DK0
  
  
  
 「ん……んんっ……」 
  
10:名無しNIPPER[saga]
2017/07/13(木) 06:46:55.15 ID:BU9z89DK0
 会社に出勤する際には、この時間に起きて準備をしないと遅刻してしまうから。 
  
  
 それがいくら休みの日だからといっても、変わらなかった。 
  
11:名無しNIPPER[saga]
2017/07/13(木) 06:47:39.82 ID:BU9z89DK0
 「昨日から智絵里が来てたんだったな」 
  
  
 男―――CGプロに勤めるプロデューサーのPが担当しているアイドル、緒方智絵里がパジャマ姿で彼の横で眠っていたのだった。 
  
12:名無しNIPPER[saga]
2017/07/13(木) 06:49:11.73 ID:BU9z89DK0
 「おっと、そうだ。携帯にもカメラは付いてたな」 
  
  
 閃いたかの様に手を打って、Pはそう言った。 
  
13:名無しNIPPER[saga]
2017/07/13(木) 06:50:13.64 ID:BU9z89DK0
 「あっ、はい……おはよう、ございます」 
  
  
 彼女は体を起こすと、Pに向かって頭を下げて、おはようと返す。 
  
14:名無しNIPPER[saga]
2017/07/13(木) 06:51:00.50 ID:BU9z89DK0
 「……智絵里が良いっていうなら構わないが、結構大変じゃないか?」 
  
  
 「そうでも無いですよ? 今日一日中、プロデューサーさんに私の全権を委ねる事ぐらい」 
  
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