100: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/09/29(金) 19:55:30.45 ID:U37eLnDj0
 「海ちゃんには言ってなかったけど、実はこういう者なんだよね」 
  
 そこに書かれていたのは、お兄さんの名前。 
 そして。 
  
101: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/09/29(金) 19:56:34.44 ID:U37eLnDj0
 ● 
  
 「はい、海ちゃん」 
  
 「ん、ありがと」 
102: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/09/29(金) 19:57:03.34 ID:U37eLnDj0
 「……」 
  
 「……」 
  
 ちょっと予想外の場所での出会いに、ウチもお兄さんも、何を喋ればいいか分からなくて、押し黙ってしまう。 
103: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/09/29(金) 19:57:51.24 ID:U37eLnDj0
  
 「……ん。今日は仕事なんだ?」 
  
 「そう。数日後から、何回かに分けて鎌倉で撮影があってね、その下見」 
  
104: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/09/29(金) 19:58:21.18 ID:U37eLnDj0
 ふと、お兄さんが真剣な表情を見せる。 
 前も、一度だけ見た表情。あの時と同じく、その表情にどきりとした。 
  
 「皆、色々な魅力を持ってる。けど、それをどう引き出すか。どう魅せるか。それを考えるのが俺の役目って感じかな」 
  
105: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/09/29(金) 19:58:56.09 ID:U37eLnDj0
 そんなことを、思っていたのだけれど。 
  
 「……この際だから言うけどさ」 
  
 「うん? 何、お兄さん」 
106: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/09/29(金) 19:59:22.60 ID:U37eLnDj0
 「海ちゃん、座って座って」 
  
 「あ、うん……いやでも、ウチをスカウトって……何で?」 
  
 「前に言ったこと、覚えてない?」 
107: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/09/29(金) 20:00:05.30 ID:U37eLnDj0
 「あの時の海ちゃん、外見の話とかだけじゃなくてさ、本当に綺麗だった。だから、きっとアイドルになれると思ってね」 
  
 「……でもお兄さん。そんなコト、一度も」 
  
 「うん。まぁ、それは不覚なんだけど。マリンスポーツの話したりしてる内にさ、なんだか……うーん」 
108: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/09/29(金) 20:00:49.83 ID:U37eLnDj0
 何でそんなことを言うんだろう。 
 ウチは、別にそんなこと思っていないのに。 
  
 「だって、ここ暫くで仲良くはなれたと思ってるけどさ……最初はある意味、下心満載だったわけだし」 
  
109: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/09/29(金) 20:01:17.50 ID:U37eLnDj0
 真面目な雰囲気が解けて、軽く項垂れるお兄さん。 
 ……さっきの原田さんとのやり取りといい、いつもこんな感じなのかな? 
 やっぱりお兄さんはお兄さんなんだななんて、ちょっとだけ安心した。 
  
 「まぁ、そんなわけでさ。海ちゃん」 
110: ◆OVwHF4NJCE[saga]
2017/09/29(金) 20:01:47.70 ID:U37eLnDj0
  
 「もう全部喋っちゃったからさ。改めて言うよ」 
  
 「う、うん」 
  
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