39:名無しNIPPER[sage saga]
2017/07/15(土) 21:19:43.99 ID:+eTeNEs7O
……馬鹿野郎、今更になって後悔して。
別れるのが嫌だったくせに。ずっとそばに居たかったくせに。好きだったくせに。愛していたくせに。
引き止めるなんて容易かっただろう。コンプレックスをつつくなり、同情を引くなり。
それを、お前。
格好つけて背中を押して、一体何をやってるんだ?
とめどなく出て来ては騒ぐ後悔を止めたくて、胸を拳で一発強く殴った。鈍い痛みが脈打つ。
……黙れ、阿呆め。
言われずともわかっている。そんな本音があったことぐらい。お前が偽らざる本音だってことぐらい。
ああ、そうだ。
彼女を引き止めたかった。
ずっと一緒にいたかった。
この楽しい日々を止めたくなかった。
そばで笑ってくれる彼女を失いたくなかった。
そりゃそうだろう。
…………好きだったんだから。
だけど、好きだったから、だからこそ。
大人ぶって、格好つけたんだ。好きな人の前でいい格好しないで、いつするっていうんだ。
反論があるなら言ってみろ。
そして、彼女に言ったことだって、間違いなく自分の本心からの言葉だった。そこにだって嘘も偽りもありはしない。
加えてもう一つ、揺るぎない本音。
彼女の心からの笑顔が好きだった。それが鈍ってしまうのが嫌だった。あの不安そうな顔を晴らしたかった。
そりゃそうだよな。
なんせ好きだったんだから。
好きな人の心からの笑顔のためを思えないような人間には、成り下りたくないよな。
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