【モバマス】P「土をかぶったプリンセス」
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44:名無しNIPPER[sage saga]
2017/07/15(土) 21:33:17.28 ID:+eTeNEs7O
衆目の中、彼は慎重に言葉を選びながら口を開いた。

「……それは、もちろん。必ず成功させるってつもりでスカウトしました。覚悟だって、あるつもりですよ」

「ホントだろうな?」
以下略 AAS



45:名無しNIPPER[sage saga]
2017/07/15(土) 21:33:53.35 ID:+eTeNEs7O
問答はしばらく続いた。飾り気のない問いに、真摯な回答が返ってくる。彼に嘘をついているような様子はなさそうだ。

これでもし、汚れた事務所だったなら……その時は、またこれからも彼女と一緒に。
なんてことを考えてしまっていた自分の、なんと小狡いことか。

以下略 AAS



46:名無しNIPPER[sage saga]
2017/07/15(土) 21:34:40.96 ID:+eTeNEs7O

自然と脅すような言い方になってしまった。彼はごくりと喉を鳴らした。
真剣な目だった。真っ直ぐな眼差しがこちらの目を貫いた。
それが、彼女の瞳と、どこかダブった。

以下略 AAS



47:名無しNIPPER[sage saga]
2017/07/15(土) 21:37:47.06 ID:+eTeNEs7O
9.

話は拍子抜けするほどに手早く進んだ。あの相談を受けた夜から二週間と経たないうちに、彼女が去る日が訪れた。

三年には届かない。けれど、短くはない時間を共に過ごした。そんな仲間が辞めてしまう日、同僚たちは皆現場に集まった。この日にはなんの招集もかけていない。自発的なものだった。
以下略 AAS



48:名無しNIPPER[sage saga]
2017/07/15(土) 21:38:56.61 ID:+eTeNEs7O
「……すっごい居心地よかったよ。ずっと、優しくって、みんなよくしてくれて。ありがとうって言いたいんだけど、でもそんなんじゃ全然足りないぐらい。……ホントに、マジありがとって思ってて!」

まとまりのない言葉が鼓膜を揺らす。

「……なのに、こんな、自分勝手にやめちゃって。わがままで、ゴメンなさい……でも、でも、応援しててほしくてっ」
以下略 AAS



49:名無しNIPPER[sage saga]
2017/07/15(土) 21:40:09.26 ID:+eTeNEs7O

一歩踏み出して、華奢で、たくましくて、驚くぐらいに強かった彼女の頭を抱えた。

忘れるわけがないだろう。馬鹿。
泣くな。謝るな。応援するに決まっているだろう、自分たちはもう、他ならぬお前のファンなんだから。
以下略 AAS



50:名無しNIPPER[sage saga]
2017/07/15(土) 21:40:44.44 ID:+eTeNEs7O

好き勝手を言ってくれる。
小さく咳払いして、彼女の頭に手を置いた。

なんでもない。ただお前が笑って生活できてれば、それでいいんだ。……そうなら何もしないから。
以下略 AAS



51:名無しNIPPER[sage saga]
2017/07/15(土) 21:41:22.74 ID:+eTeNEs7O

結局、プロデューサーとの約束のことは何も話さず、そのまま別れた。
なんとも締まらない別れ際だった。けれど、まあ湿っぽいよりはマシだろうか。

最後の最後、彼女は笑ってくれた。
以下略 AAS



52:名無しNIPPER[sage saga]
2017/07/15(土) 21:42:00.81 ID:+eTeNEs7O

バカバカしい会話に力が抜ける。

意地悪な継母、か。
意地の悪いつもりはないが、彼女のことを散々こき使ってきたことを考えれば、あながち外れてはいないのかもしれない。
以下略 AAS



53:名無しNIPPER[sage saga]
2017/07/15(土) 21:42:53.30 ID:+eTeNEs7O
E.

彼女がいない日々は、ほんの少しだけ緩慢に進んでいく。しかし、こちらの感じ方とは無関係に時間は滔々と過ぎていく。

また、一年という月日がこれといった山も谷もなく過ぎ去った。いろんなものが、いろんなことが変わったけれど、しいて何か事件を挙げろと言われても困るぐらいの小さなことばかりだ。
以下略 AAS



54:名無しNIPPER[saga]
2017/07/15(土) 21:43:36.42 ID:+eTeNEs7O

「マジかよ! スゲェ! アイドルじゃねえか!」

「やりやがったな、あいつ!」

以下略 AAS



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