12:名無しNIPPER[saga]
2017/07/22(土) 12:25:04.38 ID:xtDe7XNk0
☆☆☆
鍵を回すと、アイドル事務所の車らしく、所属しているアイドルの子たちの曲がかかりはじめた。
ナビの目的地に海を設定し、車を走らせる。はぁとさん曰く、
「こういう日は夏を感じるようにするのがスウィーティー」らしいので、クーラーはつけさせてくれなかった。
かわりに窓を少しだけ開けた。そのせいかルームミラー越しに見るはぁとさんのツインテールが風でときどき揺れている。
「それにしても千川さん、よく車貸してくれましたね」
「そう?そんなに意外?」
「はい。なんというかもっと厳しい人だと思ってましたから」
千川さんというのは僕より2つ年上の先輩だ。
アイドル級のルックスを持ちながらアイドルではなく経営や事務といった裏方をやっている。
僕が事務室に通い詰めていたとき、一番お世話になった先輩だ。
彼女は良くも悪くも笑顔が似合う。
笑顔で挨拶をくれ、笑顔で僕を呼び出し、笑顔で僕のミスを指摘する。あの笑顔は当分忘れそうにない。
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