19:名無しNIPPER[saga]
2017/07/30(日) 18:10:13.87 ID:v0PfDjSK0
女性「お勘定……」
先輩「ありがとうございま……あれ、ほとんど残されてますけど……。お口に合いませんでした?」
女性「いえ、本当に美味しかったけど……なんだか喉を通らなかったわ」
先輩「そうすか……」
女性「美味しいもの食べても、結局独りで死んでいくのには変わりないから……」グスッ
先輩「……詳しくお聞かせ願えますか?」
常連「おい! そんな女の身の上話聞いてねーで3倍豚骨持って来いつってんだろ! 俺が注文してからどれだけ経ったと思ってんだ!」ダンダンダンダン
先輩「はーい、ただいま! ……話せば少しは楽になるかもしれないすよ?」
女性「ありがとう。私、これまで勝ち組になるために全てを犠牲にしてきたわ……。一流の大学に入って、一流の企業に勤めるために、友達も、恋人も何も作らなかった……」
先輩「……」
女性「これで仕事にやりがいを感じられたら少しはマシだったんだろうけど……月収と見栄で選んだようなものだからね……」
先輩「……。……続けてください」
女性「結婚だって周りにはいい人なんていくらでもいたはずなのに……相手の年収で妥協できなくて……」
先輩「……」
女性「お金がいくらあっても……高級マンションに住んでいても……私には心から語り合える人がいない……! 今日で死ぬというのに……! 私には……!」ポロポロ
先輩「……。お客さん、ラーメンは好きっすか?」
女性「……? ええ……。人生の最後の食事に選ぶくらいだもの……」ポロポロ
先輩「店長! 休憩入ります!」
店長「はーい」
女性「……?」
先輩「お客さん、俺ね? ラーメンが好きで好きでたまらないから、こうして死の間際になってもラーメン屋でバイトしてるんすよ」
女性「……ふふ、変な人」グスッ
先輩「初めてお会いするお客さんと俺じゃ、長年連れ添った恋人や友人のようには語れないっすけど……」ドッコイセ
常連「おい! ラーメン!」ダンダン
先輩「趣味友達とラーメン談義に花を咲かせて死んでいくのも悪くないと思うんすよ」ニコッ
女性「……。私、ラーメンはかなりうるさいわよ?」ニコッ
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