230: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/09/07(木) 12:12:28.04 ID:y5a/8HOy0
  
  
  
  
  
 片翼をもがれたイリューシン-76輸送機が、被弾面から火炎を噴き出しながら街の外れへと墜落していく。本来闇夜に紛れるはずの黒煙による軌跡は咲き乱れ続ける爆炎に照らし出され、地上の我が輩たちでも容易く視認できるほどくっきりと映し出される。 
  
 開かれた後部ハッチからは、小さなオレンジ色の玉のようなものがぽろぽろと空にこぼれ落ちていく。一見ただの火の粉のようなそれらは、よく眼を懲らせば炎に包まれ悶えながら機内から脱出した人間だと気づくことが出来た。 
  
 びしゃり、びしゃり。 
  
 戦火の轟音が入り乱れる街の中に、上空から悲鳴と共に幾つもの人体が降り注ぐ。高度数百メートルからパラシュートを開くことも出来ず叩きつけられたタンパク質の塊は、都度内蔵やら血液やらその他ありとあらゆるものをぶちまけて路上に散乱していく。 
  
 ( ФωФ)「っ」 
  
 我が輩の足下にも、一人が勢いよく叩きつけられる。脳漿と筋肉繊維と骨粉が混ざりあった赤い液体が軍用ブーツにかかり、ツンとした吐き気を誘うような───その一方で嗅ぎ慣れた臭気が鼻を突いた。 
  
 『グォオオオオオオオッ!!!?』 
  
 「давай,?давай,?давай!!」 
  
 頭上十数メートルほどの位置を対戦車ロケット弾が数発通り過ぎ、丁度此方へ向かってきてきた軽巡ト級に直撃する。 
 攻撃を放ったMi-24【ハインド】はローター音を轟かせながら後方の十字路に着陸し、機内からは深緑の軍服を着て袖の部分に汎スラヴ色の国旗を縫い付けた一団がAK-12を構えて周囲に展開した。 
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