295: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/09/21(木) 23:31:35.72 ID:M1x5lU2S0
 ともあれ、爆風を利用して一気に移動距離は稼げている。 
  
 青葉はホ級flagshipの影に隠れながら、この日初めて起動した20.3cm連装砲と15.5cm単装砲に弾薬を装填した。 
  
 「索敵も砲撃も雷撃も────青葉にお任せ!!!」 
296: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/09/22(金) 00:06:31.69 ID:VgaczIdP0
 「このっ!」 
  
 15.5cm単装砲が二度続けて火を噴いた。砲弾はしかし彼我の距離を考慮してもあまりに低く、案の定二発とも“敵艦”の遙か手前で地面に突き刺さる。 
  
 だが、命中はせずともその爆発は視界を、射線を奪うには十分な大きさだ。先程向こうがやってきた機銃掃射など比べものにならない量の土埃が火柱と共に舞い上がり、“人影”の周囲を覆う。 
297:名無しNIPPER[sage]
2017/09/22(金) 02:15:46.71 ID:GmMW/RQA0
 おつおつ 
 いよいよ真打ちかな?はたまた新勢力か 
298: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/09/22(金) 22:33:48.95 ID:VgaczIdP0
 艦娘の艤装は、現代科学の粋を集めて作られたスーパーテクノロジーの塊だ。 
 “海軍”印の艤装となれば(謎の大爆発を起こす可能性がある点を除けば)世界最高水準の装備であり、例えば高所からの落下時や大口径砲の使用時に受ける衝撃の吸収機能などは一般的な艤装のそれを大きく上回る。 
  
 とはいえ、それでも吸収できる衝撃には“限度”というものがある。 
  
299: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/09/22(金) 23:00:17.50 ID:VgaczIdP0
 バチ、バチ。 
  
 短く二回、自身を覆う船体殻が艤装が上げた火花に合わせて明滅する。 
  
 本来無色不可視の防壁が、僅かに黄色くなっているのを青葉は視認する。 
300: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/09/22(金) 23:00:38.17 ID:VgaczIdP0
 バチ、バチ。 
  
 短く二回、自身を覆う船体殻が艤装が上げた火花に合わせて明滅する。 
  
 本来無色不可視の防壁が、僅かに黄色くなっているのを青葉は視認する。 
301:>>300ミス ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/09/22(金) 23:11:52.37 ID:VgaczIdP0
 しばしの間、両者は沈黙のまま視線を交わしていた。 
  
 まるで何年も愛し合っていた恋人同士のように見つめ合いながら、 
  
 まるで何年も互いの命をかけて戦ってきた仇敵同士のようににらみ合いながら、 
302: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2017/09/22(金) 23:19:44.09 ID:VgaczIdP0
 限界まで積み荷を載せたダンプカー同士が最高速で正面衝突したような轟音が辺りに鳴り響く。 
  
 突風が逆巻き、砂煙が舞い上がる。大和の46cm砲の炸裂と見紛うばかりの衝撃。 
  
 その中心で、この光景を生み出したのが身長160cmに満たない二つの人影の交錯だと、誰が信じられようか。 
303: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/09/22(金) 23:39:51.24 ID:VgaczIdP0
 攻防は止まらない。既に砲弾の残骸が地面に到達したときには両者ともその場におらず、再び0距離で構えを取っていた。 
  
 リ級が裏拳を放ち、青葉がそれを上からはたき落とす。 
  
 すかさず顎に向かって掌底を放てば、これをリ級が肘打ちでそらす。 
304: ◆vVnRDWXUNzh3[saga]
2017/09/23(土) 00:07:31.47 ID:RsYd+3xJ0
 「………やっぱり、貴女“あの”リ級ですね?」 
  
 互いの額がピタリとくっつき、ルビーのように紅い二つの瞳がまさに“目の前”で踊る中、青葉は歯の隙間から絞り出すような──はっきり言って外見美少女が出すものとしてはあまりにも相応しくない──声でリ級に語りかける。 
  
 「大本営から聞いてますよ。リスボン沖事変、そしてベルリンの戦いに現れた、異様に高い戦闘能力と明らかに他の深海棲艦と比較して豊かな情緒を併せ持った特殊個体の話。 
305: ◆vVnRDWXUNzh3[sage saga]
2017/09/23(土) 00:09:48.03 ID:RsYd+3xJ0
 今回分終わりです。>>300のミス連投は軽く死にたくなりました。 
  
 明日からの(,,゚Д゚)たちのパートでひとまずこの話は最終章となります。 
 最後までおつきあいいただければ幸いです 
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