4: ◆30lx83ehPU[saga]
2017/08/05(土) 22:07:49.14 ID:W2SDnvMcO
 傍若無人な言動、自由奔放な振る舞い。  
 天才の天才たりえる所以であるのかもしれないその常識の無さを、大石泉は忌み嫌っていた。  
  
 能力の高さへの嫉妬だと誰かが言った。確かにそうかもしれない。  
 だがそれが彼女たち天才の非常識の免罪符にされるのは、やはり納得が行かなかった。  
5: ◆30lx83ehPU[saga]
2017/08/05(土) 22:08:46.50 ID:W2SDnvMcO
 「…晶葉」  
  
 泉が声をかけると、晶葉と呼ばれた少女はそちらに振り向き、いつもの調子で「やぁ」と挨拶を交わした。  
  
 「ノックが聞こえて誰かと思えば泉か。どうした、またプロデューサーからの呼び出しか?」  
6: ◆30lx83ehPU[saga]
2017/08/05(土) 22:09:35.11 ID:W2SDnvMcO
 ・・・・・・・・・・・・・  
 ・・・・・・・・・  
 ・・・・・  
  
 「…2人で、ユニット?」  
7: ◆30lx83ehPU[saga]
2017/08/05(土) 22:10:11.77 ID:W2SDnvMcO
 「ま、待って…!」  
  
 「ん?どうした泉、何か問題でもあるか?」  
  
 「えっと…その…」  
8: ◆30lx83ehPU[saga]
2017/08/05(土) 22:10:49.08 ID:W2SDnvMcO
 ・・・・・・・・・・・・・  
 ・・・・・・・・・  
 ・・・・・  
  
 それから1週間が経った、土曜日の午後。  
9: ◆30lx83ehPU[saga]
2017/08/05(土) 22:11:22.62 ID:W2SDnvMcO
 「よし…さて、行こうか」  
  
 「…ちょっと遅いよ、今からじゃ遅刻するかも」  
  
 「何、急げば間に合う。待たせて悪かったな」  
10: ◆30lx83ehPU[saga]
2017/08/05(土) 22:11:53.03 ID:W2SDnvMcO
 池袋晶葉は熱中する。  
 泉は元から知ってはいたが、殊更意識したのはユニットを組むことが知らされてからだ。  
  
 ユニットとしての初レッスンの日、晶葉はレッスン場に時間通りに来なかった。  
 すぐに来るだろうと高を括っていたが、結局晶葉が訪れたのはその1時間後だった。  
11: ◆30lx83ehPU[saga]
2017/08/05(土) 22:12:33.79 ID:W2SDnvMcO
 「どうした、大石。動きが悪いぞ、体調でも悪いのか」  
  
 「…えっ…あ、いえ、大丈夫です…」  
  
 レッスン中、トレーナーから注意を受けた。  
12: ◆30lx83ehPU[saga]
2017/08/05(土) 22:13:06.08 ID:W2SDnvMcO
 ・・・・・・・・・・・・・  
 ・・・・・・・・・  
 ・・・・・  
  
 「この資料を、晶葉に?」  
13: ◆30lx83ehPU[saga]
2017/08/05(土) 22:13:43.15 ID:W2SDnvMcO
 エレベーターを使うと晶葉のところに行かなければならない気がして、この2週間で泉はこれが苦手になった。 
 いつの間にか、事務所から家に帰る時は階段を使うようになっていた。 
  
 研究室に着いた泉はいつも通り、返事が返って来ないと分かっていてもその扉をノックした。答えはやはり沈黙。  
 今日だけは何故かその事に苛ついて、すぐさま扉を少しだけ乱暴に開いた。  
49Res/35.06 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 
書[5]
板[3] 1-[1] l20