17: ◆K5gei8GTyk[saga]
2017/08/24(木) 22:26:16.88 ID:fLR/Lwcb0
少し歩いた先にそびえていたのは、瀟洒な雰囲気が漂う、洋風の建物だった。
彼女に追従して重い扉をくぐると、橙色の照明が少しだけ眩しい。
冷房の効いた店内は、異国のような、あまり嗅いだことのない香りがする。
彼女は入店するなり、店主と思しき老齢の男性と二三会話をしたかと思うと、店の奥のカウンターの端に腰掛けた。
異様にも感じられる雰囲気に気圧されながら隣の席に腰掛けると、先輩は意外そうな顔をしている。
「夏目君はこういうお店、初めて?」
「そうですね、専ら自分は宅飲みなんで」
「お酒、強い人?」
「弱くないとは思いますけど」
「じゃあ適当に頼んじゃおっか。奢ったげる」
「お世話になります」
「相談に乗ってもらうもの。そげん、かしこまらんでもええよ」
そう話す彼女の方が、明らかにかしこまっているように見えるとは言えなかった。
54Res/25.11 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20