99:名無しNIPPER[saga]
2017/09/01(金) 00:35:33.41 ID:gRyzT9wx0
そこには、無残にも引き裂かれた衣装と、壊されたアクセサリが散乱していた。
傍の椅子に座っている頼子の表情は悲痛と、そう呼ぶ他にない。
「え……? な、なんで……、よ、頼子……さん……?」
「……都ちゃん」
「……何が……起きたんですか」
「……わかりません。リハーサルを終えて戻ると……このような」
「だ、誰が……」
頼子は、黙って首を横に振ることしかできない。
許せない。許せない。許せない。
絶対に許せない。
こんなことが許されていいはずがない。
思わず、カバンの中に手が伸びる。しかし。
『1日に服用できるのは1回だけです』
あの注意書きが、都の手を止める。
さらに。
「……都ちゃん、あの薬を使おうとしていますね? 大丈夫です。私は、大丈夫ですから」
気配を察した頼子が、都を気遣う。
(頼子さんは、こんな時にも私を気遣ってくれる)
(辛いはずなのに、悔しいはずなのに……!)
しかし、今に限っては、その優しさは、逆効果だったのかもしれない。
「やっぱり、許せません……!」
都が、既に指先に触れていた袋を取り出した。
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