【デレマス】白菊ほたる「夜更かしと、藍子さんとのオセロ」
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1:名無しNIPPER[sage saga]
2017/09/04(月) 02:17:29.95 ID:mR3a0gwl0
アイドルマスターシンデレラガールズの白菊ほたると高森藍子の小話です。

地の文あり、マイナーCP、ご注意。

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2:名無しNIPPER[sage saga]
2017/09/04(月) 02:20:12.65 ID:mR3a0gwl0
これは私の、この事務所で初めての夏の話だ。
とはいえ、全てをお見せすることは出来ないから。

夏の終わりにみんなで寮に集まって、いわゆるパジャマパーティーをしたときの夜。
その夜更けの、ちょっとした残夏の話。
以下略 AAS



3:名無しNIPPER[sage saga]
2017/09/04(月) 02:22:07.71 ID:mR3a0gwl0

「もうすぐ、夏が終わりますね」

網戸を通り越して、晩夏の涼しい風が入り込んでくる。

以下略 AAS



4:名無しNIPPER[sage saga]
2017/09/04(月) 02:23:59.52 ID:mR3a0gwl0

「ほたるちゃんも、案外負けず嫌いですよね」
「すみません、嫌でしたか?」
「ううん、いくらでも付き合いますよ」

以下略 AAS



5:名無しNIPPER[sage saga]
2017/09/04(月) 02:25:42.85 ID:mR3a0gwl0

「やった……!」
「負けちゃいました…… これで、おあいこですね」
「ふふっ、運が絡まなければ、私だって強いんですよ」

以下略 AAS



6:名無しNIPPER[sage saga]
2017/09/04(月) 02:26:51.84 ID:mR3a0gwl0

「今年の夏はどうでしたか、ほたるちゃん」

私の先手から、静かにゲームはスタートした。

以下略 AAS



7:名無しNIPPER[sage saga]
2017/09/04(月) 02:27:56.63 ID:mR3a0gwl0

「まさか海のお仕事をする日が来るなんて思いませんでした」

透き通る海、灼けた白い砂浜。

以下略 AAS



8:名無しNIPPER[sage saga]
2017/09/04(月) 02:29:09.40 ID:mR3a0gwl0

「それは良かったです♪ 私も、波に水着を盗まれるのは初めて見ました」
「ああっ! それは忘れてください……!」
「ふふっ、忘れられそうにありません♪」
「もう……」
以下略 AAS



9:名無しNIPPER[sage saga]
2017/09/04(月) 02:30:25.02 ID:mR3a0gwl0

「藍子さんはどうでしたか、今年の夏は」

彼女が悩んでいる間に、話題の種として質問を返す。

以下略 AAS



10:名無しNIPPER[sage saga]
2017/09/04(月) 02:31:47.19 ID:mR3a0gwl0

「うん。思い返せば、狂いそうな暑さも、澄み渡った青空も、咲き渡る花々も、こんなに美しく見えたのは初めてかもしれないなって」
「それは、良かったです」

彼女と同じ喜びを分かち合えていたと知り、幸せを噛み締めて一手。
以下略 AAS



11:名無しNIPPER[sage saga]
2017/09/04(月) 02:32:59.29 ID:mR3a0gwl0

そのまま、時間の許す限り、八×八が埋まるまで、他愛ない話を繰り広げた。

あの水着は可愛かった。
あんなアクシデントが起こるとは思わなかった。
以下略 AAS



12:名無しNIPPER[sage saga]
2017/09/04(月) 02:34:19.62 ID:mR3a0gwl0

「私の勝ち、ですね」
「ほたるちゃん、強い」
「えへへ……」

以下略 AAS



13:名無しNIPPER[sage saga]
2017/09/04(月) 02:35:22.71 ID:mR3a0gwl0

「だいぶ遅くなっちゃいましたね。ほら、月が綺麗ですよ」

指を差されて視線を少し上に向けると、円なそれが白熱灯のように輝いていた。

以下略 AAS



14:名無しNIPPER[sage saga]
2017/09/04(月) 02:36:57.45 ID:mR3a0gwl0

何となく眺めていたくなって、片付けの手は止まってしまった。
椅子を窓の方に向けて、空を仰ぐ。

そのまま眠ってしまいそうなくらい、静かな時間が流れていた。
以下略 AAS



15:名無しNIPPER[sage saga]
2017/09/04(月) 02:38:12.80 ID:mR3a0gwl0

「私ね、ほたるちゃんと出会ったとき、『暗い夜みたいな印象の子だなぁ』って、思ったんです」

藍子さんは、半ば独白のように語りを進めている。
そんな彼女の心の声に、私なりにしっかりと頷く。
以下略 AAS



16:名無しNIPPER[sage saga]
2017/09/04(月) 02:42:16.51 ID:mR3a0gwl0

「ほたるちゃんは、『月』みたいですね」
「月……?」

彼女は続ける。私も、より深く聞き入る。


17:名無しNIPPER[sage saga]
2017/09/04(月) 02:47:34.35 ID:mR3a0gwl0

「月は、夜道を歩く人達には欠かせない存在なんですよ。それこそ、今みたいに電灯が無い時代には、かなり重宝されていたって聞きます」
「そんな、私なんか……」

あまりに自分に合わぬ誇大な例えに、違和感を覚えてしまう。
以下略 AAS



18:名無しNIPPER[sage saga]
2017/09/04(月) 02:49:03.47 ID:mR3a0gwl0

私が、希望。私が、誰かを照らす月……?

「なんだか、しっくりこないです……」
「まあ、私の想像も入っていますけどね。でも、きっと……」
以下略 AAS



19:名無しNIPPER[sage saga]
2017/09/04(月) 02:50:33.59 ID:mR3a0gwl0

しかし、こうして真っ直ぐに褒められるのも、なんだかくすぐったく感じる。

本当に、この人は、人を幸せな気分にさせるのが上手い。
それこそ、周りの人達を暖かく照らしてしまうような――。
以下略 AAS



20:名無しNIPPER[sage saga]
2017/09/04(月) 02:52:27.51 ID:mR3a0gwl0

もう一度、時計に目をやる。
時刻は午前二時三十分、かなり夜更かしをしてしまった。

「さて、片付けましょうか」
以下略 AAS



21:名無しNIPPER[sage saga]
2017/09/04(月) 02:53:41.16 ID:mR3a0gwl0

 ああ、まだこの幸せが続けばいいのに。
 でも、明日もきっと、良い事あるよね。
 
薄れる夏に期待を抱きつつ、この夜の一幕に、瞼を閉じた。
以下略 AAS



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