15:名無しNIPPER[sage saga]
2017/09/07(木) 01:31:59.76 ID:+EtVRVLso
がららっ
千歳「帰ったで〜」
戸が開かれる音が鳴った瞬間、私は櫻子を突き飛ばすように引き離して、落ちていたモップを掴み取った。櫻子はバランスを崩して倒れかけたが、なんとか持ち直してガラスをごしごしと拭きまくった。
櫻子「お、おかえりなさい!! 早かったすね!?」
綾乃「そうかしら? べつに普通だけど」
櫻子「そうですか!?」
綾乃「……大室さん、まだその窓拭いてたの? こっちの方はやった?」
櫻子「ま……まだです」
綾乃「もう、早くしないと帰れないわよ。私と千歳もこっちやるから、ちゃちゃっと済ませちゃいましょ」
櫻子「あ、ありがとうございますっ!」
なんだか申し訳ないことをした気持ちになったが、それよりも、わかったことがひとつあった。
明日、櫻子が私に話してくれることは……やっぱり、いいことみたい。
それも、とびっきりのいいこと。
朝の段階でもそれは感じられていたけど、今なら心の底から信じられる。
密着して近づいた私の心とあの子の心が、言葉では交わせない何かを交わし合った。
まだ腕の中に残っている温もりが、その正体なのかもしれない。
モップでほこりを集めながら、櫻子の方を見る。
櫻子も、ほぼ同時に振り向いた。
恥ずかしそうに、てへっと笑った。
私も自然と顔がほころんでしまう。
生徒会室の時計は、午後5時をまわるところだった。
今から24時間と少し後……あの子が、私の部屋に来る。
なんだか今すぐにでもその時間になってほしいような、心の準備期間に1年は欲しくなってしまうような、変な気持ちだった。
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