【ゆるゆり】櫻子「告白予告」
1- 20
23:名無しNIPPER[sage saga]
2017/09/07(木) 01:37:54.71 ID:+EtVRVLso



今日という日は、学校全体が活気に満ちていた。

いよいよ待ちに待った夏休み。テスト地獄を抜け、解放的な気持ちになった生徒たちは、みんな自然と笑顔になっている。落ち着きのない生徒たちをいさめる先生も、今日だけは仕方ないかというような気持ちで微笑ましく見ていた。


「今日で終わりじゃないからね。終業式は月曜日だから。その日休んだら夏休み中も学校に来てもらうよ」

「「えー!?」」


先生の冗談に本気で抗議する生徒たち。話を聞いているものは半分、あとの半分は夏休みの予定を立てあったり、さっそく明日から遊ぼうと計画したりしている。

しかしそんな中で、櫻子だけは机に突っ伏して寝たふりをしていた。ほとんどのクラスメイトは気に留めていなかったが、こんな時に一番騒ぎそうな女の子が静かに黙っていることに、友人たちは疑問を浮かべる。


あかり「ねえ向日葵ちゃん、櫻子ちゃん寝てるのかなぁ」

向日葵「いえ、起きてると思いますけど」

ちなつ「どうしたんだろ……体調悪いのかな」

向日葵「……そういうわけでもないかと。たぶん」


櫻子の心中を察する。昨晩はまるで母親のように大きな優しさで私を包み込んでくれたのに、きっとこの後に待ち構えることについて緊張しすぎて、何も考えられなくなっているのだろう。私も同じようにドキドキしてはいるが、それとは比べものにならないようだ。


ちなつ「向日葵ちゃんはなにか知ってるの? なんで櫻子ちゃんがあんな風になってるのか」

向日葵「ええまあ……でも、みなさんが気になさるようなことじゃありませんわ。きっと明日になったらいつも通りのあの子に戻ってますから」

あかり「そう?」

向日葵「ええ」


今日のことが全て終わったら、二人にもきちんと報告した方がいいのだろうか……私も内心迷っていた。

今日を境に、私たちは何が変わるのだろう。私たちはどこにでもいる普通の中学生で、単に小さい頃からの幼馴染で、家も隣でクラスもずっと一緒の腐れ縁で、よく一緒に遊んでいる友達同士。それは今までと何ら変わりないことで、これからもずっと変わらない。そういった意味では、これといった報告をしなくても周囲にはなんの影響もないだろう。

しかし……恐らく今日、私たちの関係は大きなステップアップを迎える。


向日葵(ステップアップ……なのかしら?)


私たちがたどり着く「そこ」は、友情の延長線上にあるものなのだろうか? 改めて考えてみると、なんだか違うような気がした。友情を突き詰めても突き詰めても、友達は親友に変わるだけだし、一緒に抱き合って眠ったりはしないと思う。

きっと、私たちが歩いてきたのは最初から「友達」の路線ではなかったのだ。友達よりももっと特別な存在だと、出会った時からなんとなく思い合っていて、恥ずかしさに押し負けてしまっていたから、「友達」と片付けることで自分を納得させていただけだ。

私にとって櫻子は、もうただの友達じゃない。

今日は、それをきちんと確認し合う日だ。

どんなに親しくても、なあなあで片付けてはいけない大事な部分。正面から向き合って、はっきりと言葉を交わして、思いを伝え合わなきゃ。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
39Res/66.95 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice