74:名無しNIPPER[sage saga]
2017/09/07(木) 17:46:37.13 ID:+EtVRVLso
向日葵(櫻子……)
一緒にオープンキャンパスから帰ってきて、花子ちゃんの具合を確かめてから、私は櫻子の顔を見ていない。携帯にも何の連絡も入ってなくて、あれから言葉のひとつも交わしていない状態だ。
今思い返せば、私たちはものすごい気まずい別れ方をしてしまった。
櫻子はこの半年間ずっと心に秘めつづけ、悩み続けてきた隠し事を、泣きながら打ち明けた。
私はいまいち櫻子が感じている罪悪感を把握してあげられていないが、櫻子があれだけ泣くのを見たのはものすごく久しぶりだ。
もしかしたらこの問題は、一日やそこらで解決できるものではないのかもしれない。
私は明日、花子ちゃんの誕生会の前に大室家で準備をしている際に櫻子と会い、ぱぱっと話して解決できるものくらいに思っていた。
しかし櫻子は花子ちゃんとデートにいってしまうようだ。どうやら楓の説明からして花子ちゃんの方が誘ったようだが、櫻子はそんなことをしている場合なのだろうか。
『櫻子ちゃんは自分で全部片付けて、向日葵ちゃんのところに帰ってきてくれるって』
……吉川さんの言葉を思い出す。ただ待っているだけでも櫻子は帰ってきてくれるから、安心していいと言ってくれた。
でも具体的に、いつ戻ってきてくれる? いつその問題とやらを解決してくれる? そもそもその問題って、どうやって解決されるもの?
これまで秘密にされていたことに、今更私が首を突っ込んで解決に導くことはできない。あの子はやはり、その問題を一人で片付けなきゃ。
でもそれじゃあ……私はその間どうしていればいいんですのよ。
向日葵(待っててあげるって……具体的にどうすれば……)はぁ
待つのも愛、って言われたけど……こんなに大変なものだとは知らなかった。
楓「それじゃあ楓、もう寝るね〜」
向日葵「ええ。おやすみなさい」
楓「……おねえちゃん、今夜は櫻子おねえちゃん来てくれるかな?」
向日葵「えっ!?///」どきっ
楓「うふふ、おやすみなさーい」ぴゅーん
おませさんになってきた楓が、からかうように笑って部屋に逃げて行ってしまった。
最近は私が携帯を見ながら大人しくしているだけで、櫻子のことで悩んでいるのだと思うようになったらしい……まあ実際そうなのだけれど。
向日葵(楓ったら……)ふぅ
でも、楓の言うとおりだった。
私は櫻子が来ることを望んでいる。
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