3: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/07(木) 21:06:51.28 ID:qeoTwk+V0
  
 (いけない、いけない。はしゃぎすぎないようにしなくちゃ) 
  
  自分の撃墜スコアがもりもり更新されていることに気づいたのか、まゆは浮ついた心に自戒をこめた。 
  しかし、右手に持った荷物のことを思い出すと、自然に頬が緩む。 
4: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/07(木) 21:07:44.80 ID:qeoTwk+V0
  
  少年が好みそうなカッコいい自転車とともに、背丈は高くないものの凛々しい後ろ姿の少女がいる。 
  深い緑をうっすらまとった長い髪が爽やかに風にそよぐ。 
  
  まゆは彼女に近づき、声をかけた。 
5: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/07(木) 21:08:31.63 ID:qeoTwk+V0
  
  おばあちゃんが行き先をメモした地図を差し出す。 
  
 「これはあるんだけども、こんなに広い駅は慣れませんで。自分がどこにいるかもわからんところでした」 
  
6: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/07(木) 21:09:11.10 ID:qeoTwk+V0
  
  *** 
  
 「いや、遠慮しておきます」 
  
7: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/07(木) 21:09:58.53 ID:qeoTwk+V0
  
  今日は、担当の一人である佐久間まゆの誕生日だ。 
  
  平日でお互いに仕事があるわけだから、また日をあらためてお祝いしようかと提案したが、彼女の熱望により、今日この後、事務所で顔を合わせる約束をしている。 
  
8: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/07(木) 21:10:39.86 ID:qeoTwk+V0
  
 「それじゃあ、お疲れさまでした」 
  
 「おう、おつかれ。この後のデートも楽しんでくれぃ!」 
  
9: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/07(木) 21:11:14.49 ID:qeoTwk+V0
  
  とはいえ、いい加減な気持ちでプレゼントを選んだわけではない。 
  心がこもっていれば、何でも喜んでくれる。そうでなければ、笑顔を見せながらも内心泣いてしまうだろう。 
  佐久間まゆはそういう子だ。 
  
10: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/07(木) 21:12:09.96 ID:qeoTwk+V0
  
  *** 
  
 「このバスです」 
  
11: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/07(木) 21:13:03.42 ID:qeoTwk+V0
  
 「あ、ここ、ここ! おばあちゃん、ここでチケットを買うんだよ」 
  
  光は券売機の前で立ち止まった。光はキャリーケースと一緒に列の外で待ち、おばあちゃんを前に、その後ろにまゆが並ぶ。 
  
12: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/07(木) 21:13:59.89 ID:qeoTwk+V0
  
  バスが来た。 
  
 「それじゃあ、ありがとうねぇ。ほんに助かりました」 
  
13: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/07(木) 21:14:45.29 ID:qeoTwk+V0
  
  駐輪所が近づく。空は茜色に染まり始めている。 
  
 「まゆ姉はこの後、プロデューサーさんに会いに行くんでしょ?」 
  
44Res/38.63 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 
書[5]
板[3] 1-[1] l20