30: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/07(木) 21:28:25.91 ID:qeoTwk+V0
  
  いつの間にかやり取りを後ろで聞いていた支配人が、すぐに電話をかける。 
  どうやら部隊に指示を出しているようだ。 
  
 (それにしても気になるな……) 
31: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/07(木) 21:30:00.94 ID:qeoTwk+V0
  
  *** 
  
 「まゆのです!」 
  
32: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/07(木) 21:30:44.58 ID:qeoTwk+V0
  
  次の瞬間、猿に向けてスポットライトのように光が当たった。 
  
 「キーッ!」 
  
33: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/07(木) 21:31:34.03 ID:qeoTwk+V0
  
  猿はすくみ上った。 
  その一瞬の隙を逃すまいと、まゆの後ろから、猿の背後から、怒涛の勢いで部隊が猿へと駆け寄っていく。 
  
  まゆは、刺又や網が入り乱れる、そのただ中で、プレゼントに向けて走った。 
34: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/07(木) 21:32:15.40 ID:qeoTwk+V0
  
  *** 
  
 「あぁ! プレゼントが!」 
  
35: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/07(木) 21:32:50.38 ID:qeoTwk+V0
  
  飼育員たちから代わるがわる感謝の言葉を述べられて、握手をせがまれているのは、自分がおそらく誰よりもよく知っているアイドル、その人であったからだ。 
  
  彼女はひとりひとりにいつも通りの笑顔で対しているが、その笑顔の内にある心は泣いているらしい。 
  
36: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/07(木) 21:33:22.95 ID:qeoTwk+V0
  
 (あぁ、何度目だろうか、彼女の涙は) 
 (昔は全く見せなかったそれも、僕を信頼してくれるようになってから、何度か見せてもらったね) 
  
  周囲が戸惑いを見せる中、プロデューサーは彼女のそばにそっと立った。 
37: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/07(木) 21:34:02.82 ID:qeoTwk+V0
  
 「やっぱり、泣いちゃってますね、まゆ」 
  
  プロデューサーはゆっくりとうなずいた。 
  
38: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/07(木) 21:34:41.50 ID:qeoTwk+V0
  
 「いつももらってばかりなのは僕の方さ」 
 「まゆの可愛い姿、いじらしい姿、元気な姿、仕事に真剣で、人に優しくて、たまに周りが見えなくなるくらい一生懸命になる、そんなまゆに」 
 「僕はいつも生きる力をもらってばかりだよ」 
  
39: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/07(木) 21:35:24.93 ID:qeoTwk+V0
  
 「それに、今日はまゆの誕生日だ。ちゃんと主役らしく、プレゼントを受け取らなくちゃ」 
  
  プロデューサーは鞄の中から小さな可愛らしい包みを取り出す。 
  包みの角が一つ、クシャっとなってしまっていることに気づき、少し慌てた。 
40: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/07(木) 21:36:08.31 ID:qeoTwk+V0
  
  
 「ハッピーバースデー、とぅーゆー」 
  
  
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