47: ◆z4l4K/HkZ2
2017/09/09(土) 02:00:18.04 ID:UExX3PfR0
  
 「テッペン超えちゃったか……だけど、報告書作らなきゃな……」 
  
 LIVEは終わったが、まだ自分の仕事は終わっていない。 
  
48: ◆z4l4K/HkZ2
2017/09/09(土) 02:02:02.70 ID:UExX3PfR0
  
  
 「奏……!帰るようにメール送っといたはずだろう……なんで……ほら、車で送るから、帰ろう。親御さんも心配してるぞ、きっと」 
  
 「……そう、かしら。でもどうしても話、聞いてほしかったから」 
49: ◆z4l4K/HkZ2
2017/09/09(土) 02:04:48.03 ID:UExX3PfR0
  
  
 車中。 
  
 奏は助手席に座っている。 
50: ◆z4l4K/HkZ2
2017/09/09(土) 02:06:27.90 ID:UExX3PfR0
  
 「……前に私が貴方に言ったこと覚えてる?誰にでも優しいのは傷つきたくないから……って」 
  
 「……ああ」 
  
51: ◆z4l4K/HkZ2
2017/09/09(土) 02:09:06.78 ID:UExX3PfR0
 「え?」 
  
 「ごめんなさい、プロデューサーさん。貴方の心がそんなになってしまってるなんて、私は気が付かなかった。だって、貴方は会った時から今まで、ずっと優しかったから」 
  
  
52: ◆z4l4K/HkZ2
2017/09/09(土) 02:11:27.30 ID:UExX3PfR0
 「奏。一端落ち着いてくれ。俺が何か奏を傷つけるような事をしてしまっていたのか?そうだったら謝る。すまない。だけど、順に話してくれないと何で怒っているのかわからないよ」 
  
 「……別に怒ってるわけじゃないし、傷つけられてなんかもいないわよ。この前、プロデューサーさんが倒れた時。覚えてる?」 
  
 「当然だよ」 
53: ◆z4l4K/HkZ2
2017/09/09(土) 02:14:44.91 ID:UExX3PfR0
  
 「……ああ、その話か。その時は仕事が立て込んでたからな。掃除が出来てなかった。いや、本当に恥ずかしいところを見られたよ」 
  
 やっぱり汚い部屋を見られたのは不味かったか。 
  
54: ◆z4l4K/HkZ2
2017/09/09(土) 02:17:16.86 ID:UExX3PfR0
  
 「散らかってるのは衣類や食べ物のゴミだけ。それを片付けると、本当に何も無い。本当に人が生活してたのかどうか不安になるくらい。まるで囚人の部屋のような。テレビのリモコンなんて、電池が切れてた。休みの日はDVD観てるって言ってたのに」 
  
 「……」 
  
55: ◆z4l4K/HkZ2
2017/09/09(土) 02:21:38.59 ID:UExX3PfR0
  
 「貴方は優しいけど、その優しさは何に対しても関心が無いからこそのもの。だから誰に対しても寛容になれるし、誰に何を言われても何も感じない。だって心の中ではどうでもいいって思ってるから」 
  
 「おい、奏……」 
  
56: ◆z4l4K/HkZ2
2017/09/09(土) 02:23:20.11 ID:UExX3PfR0
 「なに……」 
  
 馬鹿にするな、と言いかけて、止まる。 
  
 無いかもしれない。 
57: ◆z4l4K/HkZ2
2017/09/09(土) 02:25:46.09 ID:UExX3PfR0
  
 いや、自分という意識はある。 
  
 そしてその自分の意識の中には当然奏たちの存在はある。 
  
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