51: ◆z4l4K/HkZ2
2017/09/09(土) 02:09:06.78 ID:UExX3PfR0
 「え?」 
  
 「ごめんなさい、プロデューサーさん。貴方の心がそんなになってしまってるなんて、私は気が付かなかった。だって、貴方は会った時から今まで、ずっと優しかったから」 
  
  
52: ◆z4l4K/HkZ2
2017/09/09(土) 02:11:27.30 ID:UExX3PfR0
 「奏。一端落ち着いてくれ。俺が何か奏を傷つけるような事をしてしまっていたのか?そうだったら謝る。すまない。だけど、順に話してくれないと何で怒っているのかわからないよ」 
  
 「……別に怒ってるわけじゃないし、傷つけられてなんかもいないわよ。この前、プロデューサーさんが倒れた時。覚えてる?」 
  
 「当然だよ」 
53: ◆z4l4K/HkZ2
2017/09/09(土) 02:14:44.91 ID:UExX3PfR0
  
 「……ああ、その話か。その時は仕事が立て込んでたからな。掃除が出来てなかった。いや、本当に恥ずかしいところを見られたよ」 
  
 やっぱり汚い部屋を見られたのは不味かったか。 
  
54: ◆z4l4K/HkZ2
2017/09/09(土) 02:17:16.86 ID:UExX3PfR0
  
 「散らかってるのは衣類や食べ物のゴミだけ。それを片付けると、本当に何も無い。本当に人が生活してたのかどうか不安になるくらい。まるで囚人の部屋のような。テレビのリモコンなんて、電池が切れてた。休みの日はDVD観てるって言ってたのに」 
  
 「……」 
  
55: ◆z4l4K/HkZ2
2017/09/09(土) 02:21:38.59 ID:UExX3PfR0
  
 「貴方は優しいけど、その優しさは何に対しても関心が無いからこそのもの。だから誰に対しても寛容になれるし、誰に何を言われても何も感じない。だって心の中ではどうでもいいって思ってるから」 
  
 「おい、奏……」 
  
56: ◆z4l4K/HkZ2
2017/09/09(土) 02:23:20.11 ID:UExX3PfR0
 「なに……」 
  
 馬鹿にするな、と言いかけて、止まる。 
  
 無いかもしれない。 
57: ◆z4l4K/HkZ2
2017/09/09(土) 02:25:46.09 ID:UExX3PfR0
  
 いや、自分という意識はある。 
  
 そしてその自分の意識の中には当然奏たちの存在はある。 
  
58: ◆z4l4K/HkZ2
2017/09/09(土) 02:28:02.23 ID:UExX3PfR0
  
 感情が無いわけではない。 
  
 喜びもあるし、怒りも悲しみもある。 
  
59: ◆z4l4K/HkZ2
2017/09/09(土) 02:30:03.16 ID:UExX3PfR0
 休みの日は嬉しい。 
 だが何をするでもない。 
  
 友人はいる。 
 だが親友はいない。 
60: ◆z4l4K/HkZ2
2017/09/09(土) 02:32:21.64 ID:UExX3PfR0
 別に病んでいる訳ではない。 
  
 死にたい訳ではない。 
  
 ただ、どうでもいいだけだ。 
61: ◆z4l4K/HkZ2
2017/09/09(土) 02:34:13.47 ID:UExX3PfR0
 そうなのかもしれない。 
  
 いや、事実そうなのだろう。 
  
 現に今指摘を受けた事柄に対して、特に感想はない。 
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