15:名無しNIPPER
2017/09/10(日) 23:09:58.17 ID:ZNhdxt+t0
 「こうやって一緒に、な?」 
 「――――奈緒ちゃんは、ずるいですよ」 
  
 カメラの液晶をのぞき込む。……自分でも意外なほど、嬉しそうな顔をしていた自分と、それと亜利沙がそこには収まっていた。 
 カメラを受け取る亜利沙は、満足そうな顔をしていて、きっと私も同じ表情をしているんやろな。 
 ああ――。なんだかんだ、良い休日やったなぁ。 
 緊張みたいなものから解き放たれて、腕を伸ばしてみると倦怠感がどこかへ飛んで行った。歩き出すと、夕日がさっきよりずっと綺麗に見えた。 
  
 「奈緒ちゃん」 
 「うん?」 
  
 そんな私を呼び止める亜利沙。 
 帰る素振りを見せたけれど、亜利沙が呼び止めてくれるのは分かっていた気がする。亜利沙なら、こうするやろな、って。 
 私を見つめる亜利沙の表情は、今日一番の表情で。カメラが今手にあれば写真にしてしまいたいくらいで。 
 それが出来ない私は自分の網膜に消えないように焼き付けることにした。 
  
 「ありさも、奈緒ちゃんのこと大好きですっ」 
  
 そう言われて、私は駆け出して――抱きついた。 
 可愛い声を上げる亜利沙を感じながら、私は思った。 
 私は幸せ者や、ってな。 
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