13: ◆BoSt6wfla6[saga]
2017/09/13(水) 01:55:42.62 ID:1Ml/enjOo
  
 「私はちゃんとここに居ます」 
  
  どんなに幻想的な衣装をまとっていても私は日々の中で生きる器でありたいから。 
  
14: ◆BoSt6wfla6[saga]
2017/09/13(水) 01:58:02.88 ID:1Ml/enjOo
  
 「肇」 
  
 「どうしました?」 
  
15: ◆BoSt6wfla6[saga]
2017/09/13(水) 02:01:09.22 ID:1Ml/enjOo
  
 「さすがに帰りは空いているな」 
  
  これなら予定よりも早く帰れそうだとプロデューサーさんは嬉しそうに呟く。 
  
16: ◆BoSt6wfla6[saga]
2017/09/13(水) 02:02:55.93 ID:1Ml/enjOo
  
 「あともう少し、お待ちくださいね」 
  
 「免許取ったとしても運転席は譲らないぞ」 
  
17: ◆BoSt6wfla6[saga]
2017/09/13(水) 02:04:37.70 ID:1Ml/enjOo
  
  車の免許をとったら真っ先にプロデューサーさんを乗せて走ろうと心の中で決めながら窓の外を眺めれば、進む先に橙色の明かりが現れてはあっという間に流れていく、その間も大きな月は悠々と浮かび、私たちを照らしていた。 
  
  
18: ◆BoSt6wfla6[saga]
2017/09/13(水) 02:06:51.42 ID:1Ml/enjOo
  
 「……っと、ほら着いたぞ」 
  
  いつの間にか見慣れた事務所の駐車場に着いていて、降りる準備を、とプロデューサーさんに促される。 
  
19: ◆BoSt6wfla6[saga]
2017/09/13(水) 02:08:58.79 ID:1Ml/enjOo
  
  今も変わらずにそこにある月に手をかざしてみた。 
  
  やっぱりというか、当たり前というか、その手は虚空を掴むばかりだったけれど、それでも私が歩みを止める理由にはならない。 
  
20: ◆BoSt6wfla6[saga]
2017/09/13(水) 02:10:18.44 ID:1Ml/enjOo
  
 「ん? なにか言ったか?」 
  
  一歩前を行くプロデューサーさんが振り向いて心配そうに声をかける。 
  
21: ◆BoSt6wfla6[saga]
2017/09/13(水) 02:11:22.67 ID:1Ml/enjOo
  
  
  私の伸ばす手の先に、理想の私とあなたがいつも居てくれるように。 
  
  
22: ◆BoSt6wfla6[saga]
2017/09/13(水) 02:12:11.72 ID:1Ml/enjOo
  
  
 「手を伸ばせばそこにあって」おわり。 
  
  
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