13:名無しNIPPER[saga]
2017/09/16(土) 23:20:00.89 ID:KS3A+iW2O
「当たり前だろ、そんなの!」
つい声が大きくなる。そんなもの考えるまでもない。自分がステージに立って目の前の光の海に手を振るのを想像しただけで高揚するし、自分の声が入ったCDがショップにおいてあるのを見ると心から嬉しく思う──まぁ、少しは恥ずかしいが──これを楽しいと言わずしてなんと言うのだろう?
奈緒の答えを聞いたプロデューサーは満足そうに笑うと、
「そういう事だ」と腕を組んだ。
「いや、どういう事だよ」
「それが俺の仕事だってことだよ。奈緒が楽しく仕事できるようにするのが、俺の仕事」
「それは……わかるけど」
でも、何の解決にもなっていない。確かにアイドルは楽しいけど、奈緒の話からは少し逸れている。
「でも、Pさんだって思うだろ」
「何をだ?」
「あたしよりも、さ」
声が詰まる。これを言えないがために奈緒の中のもやはふくらんだ。そのもやは今、とても小さくなっているがいつまた大きくなって奈緒を支配しないとも限らない。ええい、乗りかかった船よと意を決して一息に言う。
21Res/19.06 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20