神谷奈緒「晴れは雨があってこそ」
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2:名無しNIPPER[saga]
2017/09/16(土) 23:08:57.42 ID:KS3A+iW2O
「神谷、ステップが遅れているぞ!」

「は、はいっ!」

事務所併設のレッスンフロア。次のライブにおけるメーン曲をバックに、シューズが床をこすり甲高い音を立てている。その場にはトレーナーと神谷奈緒の二人しかいなかった。最近なんだか調子の悪い奈緒は、トレーナーのフリーの時間に頼み込み、機を見てはこうして自主トレーニングに付き合ってもらっている。
奈緒が所属するユニット、トライアドプリムスの渋谷凛は力強いボーカルとステージパフォーマンスを、同じく北条加蓮は類まれなビジュアルとそれを活かすだけの表現力とにそれぞれ恵まれていた。どちらの領域も奈緒にはまだ遠く、ユニットでのライブが近づく中、同じユニットとして自分が足を引っ張らぬようせめて自分が他に比べて得意なダンスだけでも、と思い立ったのがきっかけである。
ただっ広いレッスンフロアは音を反響させ、自らのステップが刻む音がうっとおしい。奈緒は頭に入れた動きを繰り返す。でも何だか体が追いつかない。
普段ならできるターンが上手く決まらない。普段なら踏めるステップが踏めない。挙げ句の果て、振り付けのシフトで足がもつれ、転倒してしまう。ダンスレッスンフロアに鈍い衝撃が伝わった。


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