16:名無しNIPPER[saga]
2017/09/21(木) 00:11:50.88 ID:x1eCXNrg0
  
  
       * 
  
  
  
  
 ダイヤ「ルビィ! ルビィ!」 
  
 ルビィ「どうしたの、お姉ちゃん」 
  
 確か、お姉ちゃんが中学にあがったばかりの頃の話です。 
  
  
 ダイヤ「馬はとても背が高いのですわ!」 
  
 らしくない安直な言葉でまくし立てながら、お姉ちゃんはにこにこ目を輝かせていました。 
  
 まくし立てた、というのは正しくないかもしれません。 
  
 やっぱりドライヤーのせいで、ルビィたちは大きな声で話すしかなかったのです。 
  
  
 お姉ちゃんは自分の髪をざっとタオルで拭った後に、ルビィの髪を乾かしてくれていました。 
  
 ルビィはお姉ちゃんの細い指が髪を通るのが好きでしたが、その日ばかりは面白くありません。 
  
  
 お風呂あがりは、ルビィの時間のはずでした。 
  
 小学校での体験をぺらぺらと話すルビィの言葉を、お姉ちゃんは毎日優しく聞いてくれるのです。 
  
 しゃべりすぎたかと言葉を止めると、「それで?」と笑って促してくれるのです。 
  
  
 けれどその日だけは、お風呂あがりはお姉ちゃんの時間でした。 
  
 ううん、お姉ちゃんと、鞠莉さんの時間でした。 
  
  
 ルビィがわがままにも独占していた時間を、鞠莉さんは馬に乗って奪っていってしまいました。 
  
 お姉ちゃんはルビィの髪を梳きながら、馬の毛を触った話をするのです。 
  
 お姉ちゃんはルビィの肩をたたきながら、馬の背をたたいた話をするのです。 
  
  
 スターブライト号などというぴかぴかした名前の馬は、その名の通り、ルビィの学校生活なんかよりもずっと輝いていたのです。 
  
  
  
  
       * 
  
  
43Res/44.72 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 
書[5]
板[3] 1-[1] l20