17: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/09/25(月) 23:42:28.96 ID:53XBMd0+0
……そうと決まれば話も早い。
手元の企画書をまとめるような振りをしつつ、プロデューサーは彼女の登場を身構えて待った。
いつ、どこで、どのタイミングで声をかけられても万全に対応できるように。
もしも彼女が姿を見せれば、向こうが声をかける前にこちらが「用事だね?」と先手を打つことができるように!
「ふ、ふふ……! 『あ、貴方は不意打ちが趣味なのですか!?』と驚き狼狽える紬の姿が目に浮かぶぜぇ……!」
実に不純な動機である。けれども悪巧みを始めた彼の頭は冴えわたり、
振りで済ますハズだった仕事もいつの間にやらスイスイスーダラと進んでいる。
そうして時が経つこと十数分。
これは嬉しい誤算だと喜びつつ仕事をこなす彼の机にコトンと湯呑が差し出された。
隣に感じる人の気配。「遂に来たか!」とプロデューサーが顔を上げる。
その勢いと待ってましたと言わんばかりの形相で、プロデューサーは相手が
「ひゃっ!?」と驚きの声を上げることを期待していたのだが――。
「おや〜、驚かせてしまったようですな〜?」
彼が対面したその相手は、少女は実に"ゆるかった"。驚くことも、飛びのくことも、
腰を抜かすこともせずに彼女は男の顔と真っ正面から向き合うと。
「プロデューサーさんにお茶ですよ〜。なんだかとってもやる気に満ちて、頼もしく見えるお顔ですね〜」
宮尾美也。劇場きってのゆるふわ少女はそう言って、彼にニコリと微笑み返したのだ。
途端、プロデューサーの勢いが目で見て分かる程に失速する。
照れ臭そうに「あぁ……」と呟き、机に置かれた湯呑をチラリ。
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