53: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/10/02(月) 20:36:17.99 ID:vPsX6YiQ0
  
 「インゲンなんかは入れますけど……グリーンピース、それもアリかも」 
  
 そうしてすっくと立ちあがり、エプロンを絞め直すと美奈子は男に言ったのだ。 
  
 「プロデューサーさん、早速試作して来ますね! とりあえず、バリエーション込みで三つぐらい!」 
  
 「う、ん?」 
  
 「かに玉の平盛りもありますから、全部で四品……。少しだけ時間がかかっちゃいますけど。 
 きっと、お腹が減るには丁度いいくらいになりますよね♪」 
  
 ギュッと脇を閉じガッツポーズ。 
  
 厨房に美奈子が消えるのを見届けて、男は琴葉に顔を向けた。 
 グリーンピースを箸でつまみ、口に運んで彼女が言う。 
  
 「良かったですね、プロデューサー。お腹一杯になれますよ?」 
  
 ……とはいえ、琴葉が冷たい態度を取れたのもその一瞬がピークだった。 
  
 美奈子が試作の酢豚を持って来ると、結局彼女も箸を取り、 
 「そ、そんな恨みがましい目で見ないでください! ……居心地悪いじゃないですか」なんて加勢することになるのだから。 
  
 ああ、それにしても美味しそうにご飯を食べる女の子って素晴らしい。 
 時折口元を押さえたり、ズボンのベルトを緩めてお腹に余裕を作ったり。 
  
 「うぷっ……。もうダメ、これ以上はムリ……!」 
  
 それでも目尻に涙をためながら、もっきゅもっきゅと口を動かす琴葉だった。 
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