9: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/09/25(月) 23:25:45.77 ID:53XBMd0+0
===2.
劇場で時間潰しをしていると、たまたま顔を見せたアイドルが
プロデューサーに一声かけて行くこともある。例えばそう、今の如月千早がするように。
「あの、プロデューサー」
少し遠慮がちに話しかけられて、プロデューサーは千早の来訪に気がついた。
持っていたスマホを自分のデスクの上に置くと、彼は「ん、どうした?」なんて彼女の方へと向き直る。
「この劇場は、私にとって大切なホーム……。そう思えるようになったのは、みんなと――」
「ちょい待ち千早、待ってくれよ」
「は? なんでしょう」
「俺にはその、さっぱり話の前後が見えんのだが」
話を途中で遮って、困ったように頭を掻きかき。
プロデューサーがきょとんとする千早にそう言うと、彼女は照れ臭そうに目を伏せて。
「えぇっと。用件を切り出す前にまず、日頃の感謝を言葉で伝えておこうかと……。そう、思っていたのですが」
「なら先に、用件を伝えてくれた方が良かったかな。……いきなりホームだなんだって言われてもさぁ」
「す、すみません! 気持ちが逸っていたようです」
恥ずかしそうに微笑んで、千早は仕切り直すように咳払い。
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