ことり「あの子のことが忘れられない」
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5:名無しNIPPER
2017/10/01(日) 01:23:16.85 ID:/zESL2O40
狼狽する私がハンドルを持つ手の位置を忙しなく変え、きょろきょろと辺りを見回す間に、空虚な時間が経過する。

一応、周囲に人が見当たらないことは確認できた。

元々この道は朝、人通りが少ないんだった。

つまり、あのひとを助けられるのは私だけ。

しかし、もう一度前方を確認し、ようやくドアに手を掛けた私は、それと同時に気づいてしまった。

ひとが、ピクリとも動かないことに。
-
立ち上がろうとするとか、地を這おうとするとか、そんな気配すら見せない。

乱暴に捨てられた人形のように、服や髪を乱して倒れたまま。

乱れた髪は、色も相まって頭から流れる血のようにも見えてしまった。

ことり「嘘……死ん……」

その瞬間、それまでの不安と動揺が恐怖に塗り替えられ、私の感情を支配した。

過ってしまった、口にしてしまった、受け入れがたい最悪の可能性。

ことり「嫌……」

そう呟きながら、ドアに掛けていた手をハンドルへ戻す。そして。

ことり「嫌あ……」





私は、アクセルを踏んだ。




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