3: ◆KakafR9KkQ[sage saga]
2017/10/01(日) 23:07:15.51 ID:QhWukM2W0
 でも、違った。 
  
 「ねぇ聞いて杏奈ちゃん! この前昴さんとね……」 
  
 また、別の子の話 
4: ◆KakafR9KkQ[sage saga]
2017/10/01(日) 23:08:11.92 ID:QhWukM2W0
 百合子さんは杏奈と『同じ』じゃなかった。 事務所のみんなと打ち解けて、どんどん明るく社交的になって、沢山友達が出来るようになった。 
  
 百合子さんは杏奈のこと『一番の親友』って言ってくれるけど、それは違うよね? 『いちばん』ならいつも一緒に居てくれて、お互いのことだけを考えているはずだよね? 
  
 百合子さんは杏奈を『いちばん』って言ったけど、きっと昴さんもロコも、それに未来も静香も志保も翼もみんなみんなみんなみんな『いちばん』なんだ。 
5: ◆KakafR9KkQ[sage saga]
2017/10/01(日) 23:08:59.52 ID:QhWukM2W0
 嘘だって思った。 百合子さんは前に『恋って本の中にしかなくてよくわからない』って『男の人はちょっと苦手』って、そう言ってたから。 
  
 でも百合子さんはあの人に笑って、たまに怒って、楽しそうに本の話をしてる。 この前はあの人のことを『本の主人公みたい』って…… 
  
 杏奈に見せてくれた笑顔も困り眉も緩んだ頬も、全部あの人にも見せてる。 あの人に心を許してる。 
6: ◆KakafR9KkQ[sage saga]
2017/10/01(日) 23:09:49.19 ID:QhWukM2W0
 今日は杏奈のおうちで、百合子さんとふたりきり。 前はこういうことよくあった気がするけど、最近は、無い。 
  
 しかも、ここには杏奈と百合子さんのふたりきりのはずなのに、ふたりきりじゃない。 
  
 「それでね、昨日はみんなと……」 
7: ◆KakafR9KkQ[sage saga]
2017/10/01(日) 23:10:24.01 ID:QhWukM2W0
 「杏奈ちゃん…… もしかして楽しくない?」 
  
 「え…… ?」 
  
 「ごめんね、さっきから私ばっかり話しちゃって…… だめだね私、杏奈ちゃんのこと考えてなくて自分のことばっかりで……」 
8: ◆KakafR9KkQ[sage saga]
2017/10/01(日) 23:11:39.04 ID:QhWukM2W0
 「そんなこと…… ないよ」 
  
 「そう…… ?」 
  
 「それより、ちょっとゲームしよ?」 
9: ◆KakafR9KkQ[sage saga]
2017/10/01(日) 23:12:28.72 ID:QhWukM2W0
 百合子さんは杏奈の言うことを素直に実行してくれた。 合掌は出来てないけど。 
  
 そんな人を疑わない、素直なところも好きだよ。 百合子さん。 
  
 杏奈は目を閉じた百合子の後ろに回って、手に持った『それ』を百合子さんの両手に付けた。 
10: ◆KakafR9KkQ[sage saga]
2017/10/01(日) 23:13:37.98 ID:QhWukM2W0
 「な、何? 何!? 杏奈ちゃん!」 
  
 怒ってる、っていうよりびっくりしてるのかな、ゲームの続きって思ってるのかも、まだ目を閉じてるもん。 
  
 「目、開けていいよ」 
11: ◆KakafR9KkQ[sage saga]
2017/10/01(日) 23:14:08.41 ID:QhWukM2W0
 「百合子さんは杏奈のこと好き?」 
  
 「え?」 
  
 「好き?」 
12: ◆KakafR9KkQ[sage saga]
2017/10/01(日) 23:14:51.46 ID:QhWukM2W0
 「それならプロデューサーさんと杏奈、どっちが好き?」 
  
 あの人の名前を出すと百合子さんの表情が露骨に変わった。 
  
 「へ!? な、何でプロデューサーさんのことが出てくるの!? ふ、ふたりとも好きだし比べるなんて……」 
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